Ice Jewels Vol.10(1)

Ice Jewels Vol.10(1)

2019年5月16日発売。定価「1,512円」。

今日は羽生君のインタを見ていきましょう。ウチの読者さまは皆さんご購入されると思いますのが、部分引用とともに印象的な部分についてメモを残しておきます。

(1)平昌五輪前と変わったこと

平昌五輪前とは、補強トレーニング(リハビリ)の内容を変えたと語っていますね。しかし、「練習の段階で挫折を味わうことが覚悟できていた」「あのケガと同じように、思ったようには回復していかないことも覚悟していた」という言葉は重い。そもそも、平昌前のバラ1・SEIMEIと比べたら、プログラムの経験値が違いますし、逆にオリンピックに間に合って勝てたことが、さいたまワールドではプレッシャーになっていた部分もあったと想像します。よく頑張りましたね。

(2)新しいモチベーション

平昌五輪前のモチベーションは、「完璧にやろう。細部までこだわりを持ちつつ勝てるように」というもので、ソチ五輪前のそれは、「新しいことへの挑戦意欲はあったが、今と比べるとすべてをスケートに注げていなくて、こだわりも今ほどではなかった」と。

そして今は、「自分へのスケートへのこだわりも持っているし、新しいことをやることへの楽しみも持っている」が、「その両方が勝つために必要」と感じている。具体的には、4回転アクセルも、都築先生をはじめとした恩師に「見せるため」という「優しいもの」ではなくて、「純粋に自分が勝ちたいから跳ぶという固くて強い意志がある」し、「(4Sや4Loのような)エッジ系へのこだわりも、もういらない」と、「勝負の鬼」に変貌していますね。ケガのリスクについては心配ですが、それは、FaOIで来日した際に現状を説明してくれると思うので、まずは耳を傾けることにしましょう。

(3)ハビに期待すること

「競技から離れた今だからこそ、トップスケーターとして言えることがたくさんあるんだろうなと思って彼のインタビューなどを見ていました」という部分は、ハビの苦言を当然承知しているのでしょうね。そもそも、羽生君自身も、GPフィンランド大会のSP後、「大会によって採点にバラつきがある」と「踏み込んだ発言」をしていましたし、おそらくさいたまの結果も含めて、言いたいことはたくさんあるんだと思います。

ただ、羽生結弦というスケーターは、自己鍛錬によって目の前の壁を何枚もぶち破ってきた人です。ジャッジ批判は「外野」がすればいいことで、自分は現役選手として「限界に挑むこと」に気持ちを集中させているようです。

さいたまでは「負けは死も同然」とコメントし、このジュエルズでは「毎日をスケートのために捧げている」と現状を語っていますね。

「スポーツに人生を捧げる」という言葉を聞くと、私が真っ先に思い浮かぶのは、かつて日本人ボクサーをカモのように次から次へと粉砕していった、タイのウィラポンという名チャンピオンです。「家族3人でボクシングジムに寝泊まりして生活。自分は日々練習。嫁さんはジムからパートに通う。ファイトマネーには一切手をつけないで貯金」というストイックなエピソードとともに、恐れられていました。羽生君は、ウィラポンとは桁違いのカネを稼いでいるはずですが、寄付と貯金がほとんどでしょうね。ストイックという点ではまったく負けていません。

新しい情報も散見されて、良いインタビューでした。欲を言えば、新プロの情報が知りたかったですけど、それはこれからということでしょう。明日は、トレーシー&ブライアンのインタを見ていきます。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. Yuki より:

    Junさん こんばんは
    もちろん買いましたとも
    最近は仙台旅行の計画をあれこれたてていたため(グルメとお土産調べ)
    御無沙汰しています
    今回のIce Jewelsはなんと富山のFaOI楽公演がプレゼントですね
    どう頑張っても富山のチケットが取れなかったので
    これに賭けてみるかなといそいそとアンケートのはがきを書きました
    羽生くんの独自インタはここでしか読めないので毎回楽しみですが
    本当に平昌以後にこういう展開が待っていたとは想像もしませんでしたよ

    幼い頃のライフプランでは平昌後にプロスケーターになるというのがありましたが
    今アマチュアであっても羽生くんは御両親への恩返しをする以上の収入があるでしょうから、すぐにプロスケーターになる必要に迫られていませんよね
    25,6で結婚というのもちょっと遅くなりそう
    軌道修正はいろいろあって当然ですし、自分のスケート道を極めつつトップを狙う日々も充実しているでしょうね
    すべては羽生くんの健康にかかっていると思いますが、一度きりの人生ですから彼が満足するまで進んでいけばよいのじゃないかな
    将来的にはハビとも協力していろいろなことをやってくれそうですし、楽しみの尽きない人だと思います

    • Jun より:

      Yukiさま

      このインタビューを読んでいて、現役続行をする意味、理由をあえてはっきりとした形で宣言しているように感じました。

      平昌五輪前やソチ五輪前と比べて、自身のスケートに対する考え方が進化していること。打倒ネイサンという目標があること。強い意志と意気込みを言葉にして、自分自身に言い聞かせているかのようです。

      もちろん、具体的にいつまでやるのか?北京五輪は?という点への明言は無かったですけど、それはまず19-20シーズンを見てくれ!ということなのでしょう。彼の勇姿を見られるのも、あと数シーズンですし、しっかり応援したいと思います。

  2. 名無しの猫 より:

    早速のレビュー、ありがとうございます。
    今、読んでいる最中です。

    ボクシングには疎いので、ウィラポンは知りませんでした。
    タイの伝説のボクサーなんですね。タイの国民栄誉賞を何度も受賞されてるんですね。
    そんな有名な人を私が知らないのですから、アフリカの女の子で羽生さんのファンが
    いるとか、フィリピンの外相?からも羽生選手を連れてきてほしい、と言われるとか
    マイナーなフィギュアスケートにおいて、すごいことですよね。

    ところで、ジュエルズの読者プレゼント、こちらの読者さんも当選してらしたのにあやか
    って、私も応募してみます。チケット目当てに本複数買いする人がいたりしますかしら。

    • Jun より:

      名無しの猫さま

      かつて、辰吉さんが3度、西岡さんが4度、ウィラポンに挑戦して、ことごとく退けられてきたんですが、そんな彼も年齢の衰えには勝てず、長谷川さんが彼への初挑戦でベルトを奪取したのは、いまでもよく覚えています。しかし、今挙げたチャンピオンたちを遥かに超えるポテンシャルを持っているのが、井上尚弥チャンピオンなんです。

      羽生君が、日本フィギュアスケート史上の「最高傑作」であるのはもちろんですが、井上チャンピオンもそれぐらいのズバ抜けた強さだと、個人的には思っています。5/19のロドリゲス戦についてはスポーツニュースでも取り上げられると思いますので、ぜひチェックしてみてください。

  3. みつばち より:

    こんにちは 更新ありがとうございます

    もちろん買いました。国別の写真もわかりやすく載っていて、こういう扱いこそ「平等」ですよね。会場でギンガム田中さんをおみかけしてたのであの時撮った写真かしら、と楽しく拝見しています。

    • Jun より:

      みつばちさま

      ジュエルズは羽生君の独占インタの部分が目玉ではあるんですが、写真もめちゃくちゃいいですよね。今回、キスクラに田中さんの写真が無かった分、ジュエルズで田中さんの写真を堪能できて、やっぱり最高だな!と感心しました。

      他の試合についても生真面目にレポートしていて、そこがこの雑誌の良心だと思っています。