スケカナ振り返り(紀平・トゥルソワ)

スケカナ振り返り(紀平・トゥルソワ)

SPでは、紀平さん(81.35)とトゥルソワ(74.40)とでは、「6.95」点の差がありました。3Aと2Aの差は「5.69」点です。トゥルソワの3A実装はまったくの未定で、一方、紀平さんは3Loを3Lzに切り替えれば、もう少しスコアアップが望めます。参考までに、昨年のGPFのSPの3Lzでは「8.85」点を獲得。この試合の3Loは「6.86」点だったので、単純計算で「1.99」点の増加が期待できます。

まぁ、トゥルソワがステップがレベル2というのは二度と無いでしょうから(レベル4で加点がつくと約2点アップ)、お互いがノーミスをすると、やはり今大会のように「SPは6~7点差、紀平リードで折り返す」ということになりそうです。

スケートの質で言えば、紀平さんの方が圧倒的に上ですよね。トゥルソワはジャンプとスピン以外の部分はバタついている一方で、紀平さんは技のオンパレードで、やっぱりシェイの要求する水準の高さを痛感します。それこそ、羽生さんとネイサンのような位置づけに近いかもしれません。クオリティは比較にならない。比べるんだったら紀平さんとコストルナヤを比べる方が有意義で、まぁ、それはN杯を楽しみに待つことにしましょう。

トゥルソワとは、「技術点の差が23点もある!4回転を跳べなきゃ勝負にならん!」なんて悲観する意見がありますが、さいたまワールドのフリーと比べてみたいと思います。

もちろん、クワドレスの構成なら3Aの2本成功含むノーミスが絶対条件なんですが、今大会はルッツを1本も入れていないので、構成にかなりの制限がかかっています。

例えば、後半に組み込んでいる3連コンボの基礎点を比較すると、2A-2T-2Lo(6.93)と3Lz-2T-2Lo(9.79)とけっこう違いますし、3F-3T(10.45)と3Lz-3T(11.11)の差(*さいたまでは、3Lz-2T)も見逃せません。いずれも後者を選択すれば、基礎点だけで「3.52」点の上乗せ。ルッツとフリップの跳び分けの完璧な紀平さんがルッツを復活させれば「2点前後の加点」が期待できるので、これらを合計すると「5~6点の増加」を予想できます。

もちろん、単発の3Aをクリーンに降りれば、こちらも加点が2点以上つくので、さらに「4点の増加」が見込めます。すると、「クワド無しで3Aを2本の構成でもTESだけで10点アップして、87~88点までは行ける」んじゃないかと。PCSで1~2点アップを計算すると、今大会のトゥルソワの241.02を問題なく超えられます。

これ、以前にも言ったことがあるんですが、4回転を何種類跳べて、何本入れる「予定」かというのは、実際のスコアを約束してはくれません。今大会、トゥルソワはフリーでクワドを4本挑んで3本成功しても241点ということは、「紀平さんに勝つためには、1本しかミスできない」ことを意味します。他方で、3Aはショートとフリー合わせて最多で3本入れられるのは大きい。紀平さんは、むしろ、ルッツが戻るまでは、クワドは無理に入れようとせずに、しっかり3Aを3本揃えられるように精度を上げていく方が重要なんじゃないかと。

ところで、私はフランス杯のスコアに注目していて、もしコストちゃんがショート・フリー合わせて3Aを3本すべて成功した時に何点出るのか?は、非常に気になっています。

フィンランディア杯(ショートフリー)はすでにレビュー済ですが、「SPは、3Aなし。フリーは、3Aを1本成功、1本回転不足」で「234.84」が出ています。もちろんクワドは無しです。だから、上の紀平さんの計算はコストちゃんにも当てはまるわけです。

コストちゃんが、SP・フリーともにノーミスで、なおかつ3Aを計3本成功させて、トゥルソワの241.02を超えるかどうか?

ぜひここに注目してみてください。まだ、SPに入れるかどうかの情報を掴んではいないですが、フィンランディア杯の感じだとチャレンジしてほしいと思うんですけどね。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    レビューありがとうございます。

    私もトゥルソワ→紀平さんと続けて見たとき
    紀平さんのプログラムとしての完成度に、やはりこれがフィギュアだと感じました。

    マスコミはクワドをいつ入れるのか喧しいですが、今シーズンでなくてもいいのでは。
    カナダ大会では足が万全ではなかった紀平さんが、ルッツも入れてNHK杯でどこまで点数を伸ばせるのか、楽しみにしたいです。

    また、フランス杯の着眼点を伝えて頂き、ありがとうございます。昨日の練習では コスちゃん、あまりジャンプの練習が出来なかったようで少し心配ですが、徐々に調子を上げていって欲しいですね。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      紀平さんには、外野の「クワド煽り」なんて黙殺して、まずは、右足首を治すことと、3Aの確率を上げることに専念してもらいたいです。

      羽生結弦というお手本がいるんですから、自分のスケートを磨き上げることにエネルギーを注げば、必ず北京で笑えることでしょう。冷静で計画性のある彼女のことだから、心配はしていませんが。

  2. みつばち より:

    こんにちは 更新ありがとうございます

    個人的なことですがMOIチケ当たりました・・・・
    外れまくりだったのになぜ?

    エテリガールズはたしかにすごいんですが、皆同じに見えてしまうし、北京までいけるのか?何人残ってるんだろうなあ。と、つい思ってしまいます。

    日本女子の目指す道は間違ってない・・・はず。私ごときが言ってしょうがないんですけど。

    • Jun より:

      みつばちさま

      おお、MOI当選、おめでとうございます!

      私も、全日本のローチケ抽選に応募をしました。2年前とまったく同じ希望の出し方です。せっかくの代々木開催なので、女子だけでも・・・と願っています。

      エテリガールズの中で誰が生き残るか、私にも分かりません。怪我なく2022年の五輪を迎えられる人がそのまま代表になるんじゃないでしょうか?その意味では、主要選手全員にチャンスがあると思っています。

  3. Sennin より:

    点数の分析を細かく出してくださり頭が下がります。私も紀平さん4回転焦ることないと思うんですよね。先ずは足を治してから考えるそれくらいのクオリティのあるスケートだと思います。トゥルソワはお父さんに似て運動能力が抜群なんですね。今までこの選手への衣装や振り付けを好意的に見れなかったんですが、エキシの群舞観てたら皆んなについていけないんですよ。つまり音楽的センス、リズム感とかが弱い、マジの体育会系なんだなと思ったら納得しました。日本は体のメンテに使うものは限られてると思うので、紀平さんは結弦くんが言ってるように健康を守れるプログラムで高いものが出来ると思います。それより、コストちゃんですがフリーの編曲好きじゃないのに何回も観てたら、3Aのコンボの前になんか入れてるしランデイングの後足上げしてますよ〜。女子で凄い!あと発見したのがルッツを飛ぶ前の右足の使い方が結弦くんタイプ、(川畑さんや荒木さんも)あの入りで4回転跳ぶのは難しいですよ。今度は正面から観たいと思います。紀平さんはあのような思考の選手なので入れる時は入れますよね?外野は4回転煽りを止めて欲しいです。

    • Jun より:

      Senninさま

      女子の場合、現行のルールでは3Aを跳べる選手がSPはかなり有利なので、コストちゃんもSPに入れる判断になったのでしょう。成功したら82~83点ぐらい行くかもしれません。

      一方でザギちゃんの状態は、ちょっと読めないですね・・・。JOのクレオパトラは良かったですが、あの試合の採点は「参考記録」なので、本当の所はどうなのか。この試合ではっきり分かることでしょう。