メディアの見出し今昔物語。「日刊スポーツ 世界選手権2014 熱戦速報号」(リライト企画)

メディアの見出し今昔物語。「日刊スポーツ 世界選手権2014 熱戦速報号」(リライト企画)

2014年4月5日発売。定価「1,300円」。全64ページ。

日刊のフィギュア本は、2017年4月発売の「16-17シーズン決算号」をもって休刊状態になっています。羽生君が勝ったヘルシンキワールド特集号にも関わらず、その内容のひどさはアマゾンレビューの通りです。

ただ、その3年前の日刊はまずまずの出来です。しかも、「Photographer」の欄にはあの「高須力さん」の名前がクレジットされており(どの写真かは分かりませんが)、全体的に写真のクオリティはまずまずだなと思います。

両面ポスター。さいたまワールドの表彰式とパリ散。

同じくさいたまでのEX。女子は真央ちゃん1位、リプちゃん2位という、今思えば、実に贅沢な試合だったなと。

私自身、このさいたまワールドは、最終日のEXのみ観戦できました。以前ブログにも書きましたが、トップバッターは当時ノービスの樋口新葉ちゃん。演技途中で曲がバツっと切れるアクシデントがあったんですが、そこからは音楽無しの拍手のみで最後まで滑りきっていました。当時からさすがの心臓の強さというか胆力。いまや日本女子のトップ選手として成長しました。

五輪開催期間中の「時系列的レポート」は、AERAの「連覇の原動力」、Number PLUS、あるいはマガジンにもありましたが、いずれもテキストでびっしりのレイアウトだったので、こういう分かりやすくユルめの企画もいいですね。

ニースワールドにロンドンワールド。どちらも、ゆづファン的には重要な大会ですけど、ニースはモノクロで、ロンドンがカラーだったのは意外。五輪の枠のかかる試合は重要度がまるで違いますね。

今回は、真央ちゃんの見出しの方も。すべて世界選手権です。上から順番に、07年代々木(2位)、08年イエテボリ(1位)、09年LA(4位)、10年トリノ(1位)、11年モスクワ(6位)、12年ニース(6位)、13年ロンドン(3位)。

フィギュアスケートの世界で、日本のメディアが日本選手を悪く報じる例としては、真央ちゃん本人をスタジオに呼んで「あの転倒パネル」を置いたフジテレビが真っ先に思い浮かびます。「浅田真央 フジテレビ」で画像検索をすると、安藤優子さんの番組だったんですね。なんだ、彼女は今もぜんぜん変わってないじゃないか!と・・・。

で、日刊に話を戻すと、この見出しもけっこうひどいもんですよね。初めから叩きたい「下心」があって、こういう見出しに落ち着いたのか。あるいは、(勝手に膨らませた)期待を裏切られて、ヤケクソ気味にこういう見出しにしたのか。理由はどうあれ、日本が誇るトップアスリートに対するリスペクトを欠いた行為です。

日刊は、最近でもデニスの記事で例のアクシデントの件をぶっこんでくる「悪質さ」が相変わらずでしたが、けっして羽生君だけでなく、かつて真央ちゃんも被害を受けてきたことは記憶しておく必要があります。

ところで、週刊女性が「羽生結弦、デニス・テンさんの死にすぐコメントできなかった『悲しい理由』」なるしょーもない記事を上げていますが、週刊女性といえば4月に「ゆづママVS女帝監督」なるデマ記事を書いた前科が思い出されます。

ここ最近、女性週刊誌がことごとくひどくて、東北高校の女生徒につきまとった女性セブンを筆頭として、「メドベ、羽生と同じマンションを希望」というのは女性自身でした。

よく、悪質記事の「リンクを踏むな」という意見があって、それも分かるんですが、私はちょっと違う見方をしています。しっかり拡散しつつ、どこのメディアが書いたのか記憶して、それをみんなで共有することが大事なんです。

だって、上に貼ったデニスの記事も、何も知らない人がこの見出しと記事だけを見ると「へぇ?そうなんだ」と思いがちですが、その配信元が週刊女性だと分かれば、デタラメな妄想癖レベルの記事だとすぐに分かる。

今季も何が起こるか分かりません。気を緩めず注意したいですね。

Jun


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コメント

  1. mari より:

    私、この日刊スポーツのムック本は、途中までは買っていました。
    阿部健吾記者の記事が、良かったんです。
    日刊は、スポーツ紙のほうでも、ソチ後しばらくは、羽生選手に対して、嫌味じゃなかったように記憶しています。

    いつ頃からか、まずはスポーツ紙のほうで嫌味になりました。
    そして、ムック本でもあの状態に。
    阿部記者から高場記者にかわったころ、社の方針か、何か忖度、思惑があるのか知りませんが、羽生選手を敵のような書き方をするようになりましたよね。

    ソチ後のムック本で評判が悪かったのは、宝島社のなんですよね。
    そのころは、日刊スポーツは悪くなかったのに。

    でも、宝島社も日刊スポーツも淘汰されてよかったです。
    私は、良心的な本が残ってほしいから、感想を読ませていただいて、残ってもらいたい本を買うようにしています。

    • Jun より:

      mariさま

      マスコミ(とくに記者)の世界は、とくに若手は部署や担当を異動するのが当たり前なので、それ自体は仕方ないとは思うのです。ですが、論調がハッキリと変わってしまうというのはいかがなものか。

      「大人の事情」と言えば聞こえはいいですが、結局、目の前に札束を見せられて、あーいう記事を書いているのだとしたら、情けない限り。雑誌を潰してもなお自浄能力の無い日刊は、もう救いようがないですね。

      おっしゃるように、良心的なメディアも少なからず発信してくれているのは嬉しいかぎり。しっかり応援していきたいと思います。

  2. みつばち より:

    こんにちは

    更新ありがとうございます。日本のマスコミは「世間が認めてる、良いと思ってる」「それを批判する俺(私)かっこいい!だまされないのよ、ほら、こんな見方もあるんだから」
    と披露するのが習い性です。もちろん何でもかんでもマンセーするのも不気味ですけど。
    ageておいてsageるのも習い性ですかねえ。より高いところからおとせばダメージが大きいと思ってるんでしょう。しかし週刊女性の例にもあるように、いまは「またこの手かあ」と言えるし、同じ気持ちになった人と検証できるのが大きいですね。

    これからももよろしくお願いいたします。

    • Jun より:

      みつばちさま

      いわゆる「逆張り精神」が「かっこいい」というのは、昭和の時代に朝日新聞・岩波書店を有難がっていた頃からずっとあって、政治・経済・文化・芸能、そしてスポーツと、日本のあらゆる言論空間に蔓延していますよね。

      しかも、ビシっとスジの通った反骨精神なんてゼロで、特定の関係者に忖度しているのがバレバレ。読んでいて情けなくなることもしばしばです。

      ただ、ネットで拡散されるようになって「やつらの手口」を共有できるようになったのは大きい。「オレオレ詐欺対策」のように、しっかりウソを見抜ける眼力を持ちたいものです。

  3. ととちゃん より:

    2014年版は持っています。ソチの様子を時系列に並べた記事は読みやすかったです。ただ、結局は自社の記事をそのまま引用した省エネ本だと気づき、買うのをやめました。

    最終号、アマゾンのレビューを野次馬的に見に行きましたが、本当に酷かったようですね。廃刊も むべなるかな。ただ、雑誌は終わっても新聞、ネットは続きますし、女性誌
    は言うに及ばず。復帰する選手を絡めて 何を書き出すか分からないので、注意していきたいと思っています。

    ひとつ不思議なのは、画報の中西さんのような記事を載せれば売り上げも増えることは自明なのに、敢えて選手を落とすところです。売りたくないんでしょうか?

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      ロシアW杯の日本代表メンバーの選出の際に、「なぜこの選手を選ばないのか?」とけっこうな議論があって、「アディダス枠」とか「電通枠」とか、まぁ、大人の事情で選ばれた選手もいたと言うのが暗黙の了解でした。

      そう考えると、フィギュアスケートの世界も、そもそも、スケ連の「一部の推しメン」にまず問題があるわけで、そこに出入りして気に入られた記者の書く記事が、歪んでこないわけがない。複合的に「いろいろな闇」が折り重なって、どす黒くなっているんだと思います。

      まぁ、それを嘆いてばかりもいられないので、我々は在野の人間として、しっかり頑張っている選手を応援して、良質なメディアを評価していくしかないですね。

  4. マリィ より:

    こんばんは
    本人的に頭抱えたり、ヘタってる写真はいい気持ちがしないだろうなぁと思いました。
    真央ちゃんも散々な書き方されてかわいそうでしたよね。
    ここで何が悪くて良いのか勉強になります。
    それにしてもソチ五輪で10代で金メダル、ディックバトン以来66年ぶりだったんですね。
    これは知らなかったです。
    当時ニュースになりましたか?
    転倒⁉︎とか大げさな見出しにしないで、その辺を大きく書いてほしかったですね。
    ごちゃ〜っとした誌面が学校の体育の教科書みたいです(笑)

    • Jun より:

      マリィさま

      ソチで金メダルを獲った当時は、そういう記録面の話は無かったはずです。10代で金メダルというのも本来凄い話なんですが、かつて水泳の岩崎さんとかいましたし、年齢的な部分もさほどクローズアップされていなかったと記憶しています。

      もう少し大きな視点で見ると、日本人(というか特にマスコミ)には「大技信仰」というものが根強くあって、真央ちゃんが叩かれているのは、「大技を持つ選手が勝つ」という「考え方」が裏切られて、その腹いせに彼女を攻撃している部分もあるんじゃないかと。

      フィギュアスケートに限らず、似たような傾向ってけっこうありますね。野球ではピッチャーの直球のスピードばかり注目されたり、受験の世界では「(まず出題されないような)難問を解けることが評価される」とか。平昌五輪で「羽生のジャンプの難易度は低かった」とネチネチ言う見解も、その発想は同じでしょうね。