ランビ先生と島田君「フィギュアスケートファン 2018-19」(3)

ランビ先生と島田君「フィギュアスケートファン 2018-19」(3)

今日も「フィギュアスケートファン」をオカズに、島田君のインタについて皆さんとともに語りたいと思います。

まぁ、いろいろと言われている辛仁夏さんですが、羽生君に絡まないのであれば、本書を読む限りでは、選手の興味深い発言を引き出せる有能なインタビュアーなんだなと、認識を新たにしました。

――ずばり、ステファン・ランビエールさんはどんなコーチですか?

「氷の外では友達みたいな感じですね。スイスでは親のように頼っていますし、オフアイスでは友達のように接してくれています。でもリンクでのコーチングとしては、細かくアドバイスをもらったり指導してもらったりしています。スイスでの生活はリラックスして、氷上では集中して練習に取り組んでいるので、オン・オフの切り替えが今はいい感じに働いているのかなと思っています」

――ランビエールコーチから常に言われていることはありますか?

技術的なところでは、重心を低くということですね。身長が高くなってきたのもあって、重心が高いとジャンプやスピン、スケーティングにまで影響してくるので、それは毎日言われています。試合のときは、自分を強くアピールするようにと必ず言われていますね

いやぁ、いつもニコニコしているランビさんですけど、そのものズバリを本人に、しかも「毎日言われています」とは驚きました。私が感じている「島田君のスケートの頼りなさ」というか「不安定さ」の原因は、言うまでもなく「背が急激に伸びたこと」にあるわけですけど、それやっぱり言ってるんだ!と。昨日ご紹介した宮原さんへのブリアンコーチのアドバイスとは違って、直接見ている弟子というのもあるでしょうけど、遠慮なくズバズバ言ってるわけですね。

一方で、「自分を強くアピールするように」というのは、今季の島田君は、見事に師匠の教えを実践できていると思います。今季の彼の両プログラムを見てきて、「ランビさんが同じ衣装を着て、同じプログラムを滑っても違和感がない」というぐらい、これまでの彼とはまったく別人の「俺を見ろ!」という、良い意味でのアクの強さを感じていました。このような、表現面で観衆やジャッジに訴えかけるような「圧の強さ」みたいなものを、例えば、須本君にも欲しいなぁ・・・と常々感じているんですけど、やっぱり、コーチ兼振付師のランビさんから直接指導を受けている(しかも共同生活もしている)影響は絶大なのだなぁと。

「ノービスのときは練習もものすごく楽しくて、毎日をエンジョイして、楽しむことがスケートを上達するためのカギなんだと思っていたんです。だけど、今となっては練習もキツいものだし、毎回楽しいわけではなく苦しいときもあるし、楽しむためには努力をするけど、努力をするのは楽ではないです。・・・最終的には、僕が楽しんでいる姿を見るのを母も好きと言ってくれているので、その言葉通りに楽しむ姿をスケートで見せられたらなと思っています。

昨年の夏合宿のインタ以降、17歳の若さにして、島田君の「考えていることを言葉にして表現する能力の高さ」に舌を巻いていました。サッカーの日本代表選手や、近年のオリンピック日本代表クラスのアスリートが「(4年に1度の試合であっても)楽しんできます」と発言すると、「国を背負っているのに、楽しむとはけしからん!」なんてよく言われますよね。「楽しむ」というフワっとした感覚が、私自身も実はよくわかりませんでした。しかし、島田君のこの表現は、非常に分かりやすい。

フィギュアスケートという「表現」を他人に評価してもらう競技の、「自分はこんなにスケートが大好きで、楽しんでいるんだ」という部分を出さないとスコアをもらえない特殊性もあるんでしょうが、「大舞台で『楽しんでいる自分』を表現するために、日々の過酷なトレーニングが必要になる」と、ここで彼ははっきり言っている。「それだけの努力をしていますよ」という自信に満ち溢れた発言でもありますよね。羽生君とはまた違った意味で、言語能力が高い。ある意味で、羽生君のような細かすぎる表現とは違って、「内容のある情報を分かりやすく伝える能力」があるなぁ・・・と感じます。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. おの より:

    島田君は中学生の頃からしっかりしてましたね
    言語能力素晴らしい
    自分が思う事を伝える事は簡単なようで難しい
    私も頭の中では分かっても、言葉にすると違う事もあったりして(笑)
    冷静に自分を見れるのはいい事ですね
    何が悪いのか分かります

    セブンルール、良かったですね
    伊藤さん、思っていたより若い方なんですね
    1人で制作してるのは色々大変だけど、アシスタントの手が入るとニュアンスとか変わるので、1人で作るほうがストレスたまらないと思います
    ブラっと散歩も分かります!
    追い詰められると歩きたくなるんですよね
    参考になる場面もあり、いい番組でした。

    宇野君の衣装の事に触れなかったのは意外でした。
    羽生くんの次の衣装に期待してます!

    • Jun より:

      おのさま

      頭で考えていることを、しっかり話すというのは、なかなか大変だと思います。おそらく、日頃からそうすることをランビさんから求められていて、そんな能力も鍛えられる環境なのかなと。
      数シーズン前のNHK杯でデニス君が、アナウンサーの質問に対して、実に分かりやすい英語で、しかも的確に答えていたので、頭のいい選手だなと感心していました。これは、ネイティブだからできるわけじゃなくて、ダラダラ喋る人もいるんですよね。

      島田君もデニス君も、もちろん普段は英語ですから、あの感じだったら、プレカンでも英語で相当話せるような気がします。

  2. ととちゃん より:

    今季の高志郎くんには どこか一皮剥けたような印象を持っていました。怪我を乗り越えた強さかなと思っていたんですが、ランビからのアドバイスが大きかったんですね。

    インタで感じる聡明さは、言語能力の高さから来るのでしょう。英語も堪能なようですし、プレカンも全部英語でこなせるようになるかも知れませんね。

    お母さまへの言及を読むと、彼にとってもご家族は大きな支えなんだなあ、と 少し羽生選手と重なりました。
    重心を低く、を心がけて、安定した演技で魅了できるよう頑張って欲しいです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      おっしゃる通り、プレカンでも話せそうですよね。やっぱり、一人でスイスに行ってることと、単純にトロントとスイスの(日本人密度)の違いもあって、羽生君よりも英語は話せるような気がします。

      家族含めて、周囲の支えがあって自分はスケートをやれているという感謝の気持ちを素直に話せる選手ってステキですよね。羽生君や三原さん、あるいは紀平さんもそんな発言をしますが、トップ選手に上り詰めるための絶対条件のような気がしています。競技に向かう覚悟が違ってきますからね。

  3. マリィ より:

    こんにちは
    島田くん174センチなんですね。
    急にここまで伸びたらコントロールが大変でしょうね。
    でも男子は筋肉が付いて来るからどんどん良くなっていきますね。
    カッコ良くなったと思ったのは身長だけでなくアピール力が上がったからなんですね。
    黒の衣装に赤の花の衣装もとても似合うと思いました。
    やはり伊藤みどりもそうでしたが、共同生活から得るものは大きいみたいですね。
    17才にしてこの言語能力、羨ましいかぎりです。
    思っている事を言葉にするのは本当に難しいですね。

    遅ればせながらクリアファイルやっとゲット出来ました。
    イオンになかったので諦めていましたがファミマにありました。

    • Jun より:

      マリィさま

      ランビさんは、身体作りの大切さについてインタで語っていたことがあって、エテリ式の女子への指導方針に懐疑的なだけでなく、男子に対しても「身体が出来上がるシニアに上がってからが勝負」という主旨の発言をしていました。

      島田君も、オンアイスよりもオフアイスの練習の方がハードで長いと話していましたし、これからもっとガッシリしてきて、力強さが出てくると思いますよ。そうなったら鬼に金棒ですよね。楽しみです。