欧州選手権(女子フリー)感想

欧州選手権(女子フリー)感想

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。

ザギトワ。フリーは123.34の4位。合計198.34の2位。2日前の記事で「フリーでノーミスに近い演技ができたら奇跡だ」と書いたのですが、嫌な予感が的中してしまいました。

身体が重そうでスピードが出ていないし、でもギチギチに詰め込まれているツナギ自体はそのままですから、当然ジャンプを跳ぶ前の勢いが足りなくなる。ジャンプの高さは出ないし、回転も足りないし、着氷時の踏ん張りも効かないしで、見ていて気の毒になりました。演技後の彼女は、悔しくてボロボロ泣くのではなく、自分の状態をよく分かっていて、もはや「悟りの境地」というような表情に見えました。あのミラノワールドのフリーでさえ「128.21」でしたから、状態は良くないですね。

ただ、ザギちゃんの体型変化やコンディションを考慮せずに高難度プログラムを作ってそれを押し付けたエテリの判断ミスと言われても仕方ないですよね。「まともに3回転も降りられないのに、この状態で4回転?バカじゃないの?」と言いたいですよ。

しかし、日本女子の立場からすると、さいたまワールドは大チャンス到来です。紀平さんだけでなく、宮原さんも、坂本さんも、みんなが優勝狙いで行くでしょう。全日本選手権のリターンマッチで、ジャッジに日本人はどんなに入っても一人だけですから、スコアの出方も興味深い。「勝負」という意味では、ワールドは女子もがぜん楽しみになりました。

サモドゥロワ。フリーは140.96の1位。合計213.84で優勝。よく頑張りました。

「ミーシンの指導はもう古い!」なんてついこの間まで言われてましたけど、「シニアの選手をどう輝かせるか」という点では、やはり素晴らしい指導力の持ち主だなと再認識しました。リーザの復活とサモの安定感を見ると、選手に無理をさせずに、しかも一本ビシっと芯の通ったプログラムを演じさせている。完成度を求める新ルールにもハマった感があります。ミスらしいミスは3Lzのアテンションと着氷の若干の乱れぐらいで、いい内容でした。

昨シーズンこの選手がジュニアで戦っていた頃の評価は、正直、エテリ組(当時)のトゥルソワ、コストルナヤ、タラカノワ、パネンコワよりもスコアの出ない構成で、でもシニアにも上がれないしという、宙ぶらりんな実力の持ち主という感じでした。ところが、今季は体型変化の影響でメド&ザギが力を発揮できず、シニアに上がったパネもダメ、格上と見られていたソツコワ、ツルスカヤも不調ですし、存在感がギラリと光っています。

じゃ、来年上がってくる子たちは、シニアでもジュニア時代のような演技ができるのでしょうか?正直、ザギちゃんの状態を見れば、エテリコーチは体型変化に対しては「まったくの無策」と言っていいんじゃないかと。運良く体型変化の影響を受けなかった子、あるいは我慢できた子だけが生き残れる。なんだかなぁ・・・という感じです。

パガニーニ。フリーは114.26の7位。合計179.90の6位。フリーはまだまだという感じですね。全体的に助走が長いです。全米選手権のアリサの3Aの助走の長さにはビックリでしたが、日本の選手のプログラムだと、選手のレベル関係なく3回転にそこまで助走を取らないイメージがあるので、新鮮でした。

「ラ・ラ・ランド」は、読者のみなさんも「カルメン」や「エクソジェネシス」並みに「耳タコ」だと思いますが、パガニーニちゃんはちょっと動きが淡白かもしれません。でも、それにしても観客が露骨に地蔵状態で、手拍子ぐらいしてあげたら?と。こういうのを見ると、日本のお客さんは素晴らしいよなぁと思います。

リンドフォース。フリーは128.79で3位。合計194.40で3位。フィンランドの19歳の選手で、今季はGPヘルシンキで8位、タリントロフィーでは3番に入りました。

出だしを聞いて、一瞬、須本君の顔が反射的に浮かんでしまったんですが、レ・ミゼラブルもいろんなバージョンでよく使われますね。この選手は、ジャンプを跳んでから空中でかなり軸が傾きながらもきっちり着氷しているので、小柄ですけど身体は強いのかもしれません。細かいミスはいくつかありましたが、よくまとめました。

ユーロも全米もすでに終了している種目がありますが、まぁ、ゆっくり見ていきたいと思います。ネタ的には全米選手権の方が語りたい部分が満載ですけど、明日はユーロの男子フリーを優先します。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. Fakefur より:

    ザギちゃんは予想以上に深刻でしたね。Junさん評を読んで、エテリ組は大人の女子選手を育成するメソッドもその気も本当に無いのだなと思いました。元々、膝を使わないで、前のめりで漕ぐ悪い癖がありましたが、足が長くなって、腰折れがさらに目立ち、バタバタ感が加速してます。

    姉弟子のリーザもそうですが、サモは客席を煽ったり、観客を楽しませようとする余裕があって、見ていて応援したくなります。

    リントフォースを取り上げてくださってありがとうございます。ヘルシンキGPで観てから良い選手だなと注目してました。歴代のフィンランド女子選手はジャンプが残念な印象がありましたが、リントフォースは小柄ながら筋肉質で、体幹がしっかりしていて、ソリッドな技術+(顔芸に頼らない)全身を使った情感の込もった良演技で、宮原さんタイプだなぁと思っていたので、表彰台に届いて嬉しいです。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      我々外野があれこれ言っても、決断するのはザギちゃんですけど、今となって思えば、メドちゃんが移籍を決めたのもこういうことだったんだなと。

      当時は、「後輩から逃げた」みたいな言われようでしたが、「大人のスケーターを育てる方法論」が無いんだと思います。

      やっぱり、スケートを楽しんでいるスケーターの方が、見ている方もハッピーになりますよね。リーザもサモちゃんも、そういうスケートを今季披露してくれているように見えます。

  2. ととちゃん より:

    確かに 手拍子の大きさ、ロシア勢とパガニーニでは違いましたね。ロシアンにとってはホームみたいなものですね。

    ザギちゃん、そんな大きな声援のなか、転け、抜けが目立って可哀想でした。GPFのときの怪我も後を引いてるんでしょうか。ただ仰る通り、日本勢はここで勝ちにいかなくては。花織ちゃんも世選優勝への気持ちを表していましたし、期待大です!

    サモドゥロワは余裕を持って演技出来ていた印象です。煽る仕草にちょっとレックレを思い出しました。イタリア解説、ザギのときは助けて!と叫んでいたのに、彼女には絶賛の嵐ですね。感情を隠さないので、面白いです。

    あと、北欧にフィギュアの有名選手がいないのを不思議に思っていたので、リンドフォース選手の台頭は嬉しいです。最後のステップがボーカルと共に盛り上がってとても良かった。いいプロでした。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      完全にロシアのホームですね。スコアにもよく出ていて、今晩アップする男子フリーのGOEを見ても、ハビの加点はけっこう渋かったので、結果的に接戦になりました。

      リンドフォースさんは頑張りましたね。あのキーラ・コルピ以来の台乗りとのことです。日韓露と北米だけじゃ面白くないですから、ヨーロッパからも元気なスケーターが出てくることを期待しています。

  3. ごろ寝 より:

    JUNさん、エテりには厳しいですね。分からないでもないですが。
    指導者は選手個々に見合った指導をお願いしたいもの。一律指導は難しいものがあると思わせてくれる方です。

    ユーロはご紹介してくださる動画を走り見し、「盛り」採点の全米は友の感想しか知りません。その友が、ネイサンのFSだけは見るように勧めてきました。
    良い出来だったのは(採点はともかく)無論ですが、構成を見ろ、ということでした。

    相変わらずクワドの入りは4T前のイーグルぐらいであっさりです。しかし、助走が要るクワドを前半に固め、後半は助走の要らないジャンプを続け、ステップまでしっかり音をとっている。曲に合わせて動きを多用して盛り上げていました。SSやTRで高い評価を付けるには物足りないものはありますが。

    こういう構成もありですね。ザギトワも「ギチギチ」繋ぎを通しでやるより、身体が慣れるまではメリハリを持たせるよう工夫すれば良いかもしれません。
    選手、コーチにはそれぞれの「理想」のスケートがあるのは勿論です。ですが、体調等でそのベストが出来ない時は、少しの手を加えてもいい気もします。

    ネイサンのノーミスを見て、エテリ女子と次の4回転時代に思いが巡りました。

    • Jun より:

      ごろ寝さま

      エテリに対してこれぐらいのことはけっこう言ってるつもりですが、私の一番好きな女子スケーターは、コストルナヤですから、もちろん彼女の指導力は高く評価しています。

      ただ、ロシアの国中から(もしかすると旧ソ連諸国からも)、地元で「神童」と言われてきたようなスケーターの卵がエテリのチームを目指して集結しているはずで、選手一人ひとり細かくケアできていないというのはあるのかもしれません。

      ネイサンおよび全米男子については後日みっちり検討したいと思っています。

  4. sennin より:

    ザギちゃんはとにかくなんかあるのでしょうね。原因はザギちゃんサイドでしかわかりませんので無責任な事はいえないですが、Junさんの仰るようにコンデイションを考慮したプログラムにするなどの配慮があるといいのになあと思います。フリーは悔し泣きもなくその点は私も観ていて少し気持ちが軽くなりましたけど、今季はとにかく重たそうにみえますね?せっかく専属の振付け師が側にいるのだから繋ぎなども滑りやすいようにしてみてもいいのにと感じます。選手ファーストを考えると切ないですよね?。

    サモちゃんは勝負を感じたのかいつものキャピキャピが無くてキスクラで点数出るまで深刻な表情でした。立派な演技でしたね?繋ぎが薄いし難しいことをしてないから優勝はないだろうくらいに散々なことを言われてましたが、フリーも楽しそうに演技していました。ミーシンの指導は古いなんて話があったとは知りませんでした。選手の力を切り捨てることなく、できるだけ長く競技人生がおくれる事を芯にある指導者のように私には見受けられます。表彰式前にはサモちゃんからザギちゃんに暫くハグをしていたのが微笑ましかったですね。
    フィンランドの選手の表彰台は感激しました。良かった、良かった!

    • Jun より:

      senninさま

      ザギちゃんに対して、共同通信の記者が「マサルのせいで調子を落としたのか?だとしたら日本人として謝罪する」などというバカな質問をして、世界中から顰蹙を買っていますが、あの記者は動物を飼う人の気持ちがまるで分かっていないようです。ザギちゃんにとってマサルは家族なんですよ。何言ってんだと。

      ロシアには、チームもいろいろあるので、選手の置かれている状況も様々ですね。ミーシンのチームだけでなく、今季JGPでカニシェワ&シニツィナという優秀な教え子を引き連れた「パノワ組」にも私は注目しています。