NHK アナザーストーリーズ(2019-1-29)感想

NHK アナザーストーリーズ(2019-1-29)感想

会心の出来栄えでしたね。NHKといえば、平昌五輪直前に放送された「NHKスペシャル 金メダルへの道『羽生結弦 連覇への苦闘』」が最悪の内容で、「またあの再現か?」と警戒していた方も多いはず。

しかし、今回の素晴らしい出来は、今となって思うのは、地上波ではなくBSプレミアムでの放送だったことがミソで、つまり、NHK主導の番組作りではなく、「テレビマンユニオン」という制作会社の阿部修英さんが中心となって作った番組だったことが大きかったかなと。

阿部さんの今回の放送についての思い入れは、御本人の「ツイ」や、同社の「番組紹介」でも語られています。ぜひチェックしてみてください。

以下、放送を見ながら気づいた点をメモとして残しておきます。

・まずは、ディック・バトンさんが初っ端からかましてくれましたね。「4回転が何だってんだ?どいつもこいつも雑巾を絞るようなジャンプばかりして」と形容していたのは痛快でした。「ただ上に跳んで回るだけで流れのないジャンプ」のことを指しているのは明白ですね。もちろん、何ヶ月もかけて番組は作られていたので偶然ですが、欧州選手権と全米選手権の直後の放送というのがなかなかタイムリーでした。ジャネット・リンの部分で、「別れた嫁さん」の話でオチもつけてくれて、愉快なおじいさまでした。

・匿名掲示板のアンチの書き込みが晒し上げられていましたね。あそこは本当にヒドイです。ただ、同じ掲示板でも、「なんでも実況S」の「フィギュアスケート実況スレ本部」は、ライストでカップル競技もしっかり見る人たちの書き込みも読めるので、「まとめ零」よりよっぽど質が高いですね。

NHK杯およびロステレ杯の際の怪我の映像をいっさい使っていませんでした。これが本来のまともな人間の感覚というものですよね。

ハビは、もう最高でしたね。毒なんて吐かなくても、一つひとつの発言が、ストレートに胸に響いてきます。スケートと人生は、合わせ鏡のようなもので、彼のスケートを思い返せば、高いクオリティと、それを具現化するために注がれた努力の跡と、そして遊び心に満ちていました。

・プルさんも、「ユヅルは、3連覇、4連覇、5連覇も可能」とか、無茶言うよなぁ・・・と笑っちゃいましたね。でも、あれぐらい「ぶっ飛んでいる考え方」だから、4回もオリンピックに出て、国内で散々いろんなことを言われてきて、それでも現役を続けてこられたんだなと。他人の意見をいちいち気にしているような人じゃ、あれだけの偉業は成し遂げられませんよね。そう考えると、羽生君はややネットや報道を見すぎている点は気になりますが、それが彼自身の様々な局面での決断に影響を与えないことを祈りたいと思います。

再放送(2月4日23時45分~)」も決まっていて、おそらく「オンデマンド」のラインナップにも近々追加されることでしょう。必ず視聴されることをオススメします。私は編集なしで円盤にします。文句なしの永久保存版ですね。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. おの より:

    こんな風に作ってくれるなんて思って無かったので、凄く感動しました。
    羽生くんが出なくても、各々の方が語る羽生くんへのメッセージ
    3人とも良かったです
    ハビはほんとにいい人で、こんな方がチームメイトでライバルでいたなんて、ほんとに奇跡のような関係でしたね
    と、喜んでいたら、再放送は一部編集して放送されるようです
    はぁ…
    良かったのに…
    どんな風に編集されるか、多分あの辺りかと思いますが、怖がらないで放送して欲しいですね

    • Jun より:

      おのさま

      羽生君がクリケット移籍を決断した理由のひとつとして、ハビの存在を上げていましたけど、彼について事前に知っていたのは、クワドの質だけだったんでしょうかね。

      それまでの試合で何か交流があったり、あるいは人づてでも性格面での良い評判を聞いていたのではないかな?と想像するのですが、実際どうだったのでしょうか。

      再放送で何がカットされるかは色々と想像しています。バトンさんの毒舌部分か。ハビの「ネイサンやショーマには勝てると思っていた」という部分か。あるいはプルさんの「ユヅルなら、スケ連次第で、3連覇、4連覇、5連覇できる」という部分か。特に後ろの2つであれば、ゆづファンのための番組なわけだし、あんたらが見なきゃいいだけじゃん?と思うんですけどね。

  2. みつばち より:

    更新ありがとうございます

    再放送が編集されるとか、ほんとですか?まあみればわかることだけど。
    今の時代、編集ようするにカットは無意味なんですが、いちおう立場上ということなんですかねえ。しかし公平さを欠いてる、だれかを傷つけたり、いわれのない非難をしている内容とは思えませんでしたが。

    「自分たち」は傷付きたくない人達がたくさんいるということなのかな。

    • Jun より:

      みつばちさま

      あんたらには関係ないんだから、見なきゃいいじゃん?って話なんですよね。

      宇野選手や高橋選手の大特集が、テレビであれ、雑誌であれ、何が行われていようと、私含めてゆづファンの99.9%の方々は、まったく興味ないと思うんですよ。文句を言うつもりもなければ、そもそも「見るな」と言われる前に、興味がない。
      でも、アンチの方々や、某勢力の方々は、羽生君が気になってしょーがないようですね。自分の推しに対する愛情が足りないんじゃない?と言わざるをえません。

  3. Fakefur より:

    タイムリーに紹介してくださってありがとうございます!放送直後なので動画サイトに残っていて、無事に見ることができました。

    名選手の名言オンパレードでしたが、中でもハビの言葉は最高級ダイヤモンドの輝きを放ってましたね!

    平昌前の療養中の羽生さんに何か声をかけたか聞かれて、「僕らのように高いレベルで競い合っている場合、求められるのは、背中を見せ続けること。僕の背中を見ろ。レベルを保って、君との戦いを待っているよってね。」

    これぞ、真のアスリート。真の男。こんなことを言ってくれるライバルがいるなんて、なんと幸せな競技人生でしょう。

    ハビの優しい人柄やエピソードは超有名ですけど、本人の口から密度の濃いコメントを聞くと、だから、この人のスケートは美しく強く、心に迫ってくるのだと実感します。こんな宝石のような言葉の数々を聞いた後にユーロを迎えていたら、涙で全然見えなかったことでしょう。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      スケートに対して真っ直ぐでマジメだから、ライバルや友に対して、いちいち攻撃的になったり皮肉を言う必要がないんですよね。

      アホで無神経で軽率な発言をするスケーターは、残念ながらそれがスケートに現れていますよ。質の高いスケートを追求している人は、それだけ人生を削って心血を注いでいる。

      「誰を応援すべきか?」という問いに対して、「スケートを見ればいい」というのが唯一の答えだなと再認識しました。

  4. ととちゃん より:

    3人の語りを通して「羽生結弦」を浮き上がらせるという手法が良かったです。地味だけれど、例えば「蒼い炎」の一節を差し挟むなど、相当下準備がされたのだろうな、と思わせる番組でした。

    人選も良かった。スケーターとして、人間として、一流を選んだことで、品格のある内容になったと思います。
    ハビに泣かされたのはもちろんですが、プルさまの羽生選手への燃えるようなライバル意識が感動的ですらありました。
    登ってくる若者を迎え撃つ余裕と気概!! 拍手したい程です。国内某先輩にこの欠片でもあったら、は見果てぬ夢ですが。

    こうした番組を 外部でなくNHK本体で作る力はないんでしょうか。地上波で放送して欲しいものです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      「蒼い炎」は、「1」の方を使うのはちょっとなぁ・・・という気がしないでもないですが、まぁ、本人の発言の部分だから良しとしましょうか。

      3人のレジェンドたちに、「単に羽生結弦を称賛させる」だけじゃなく、3人のスケーターの「人となり」を描いた内容でもあったので、1時間足らずのボリュームであっても、お腹いっぱいでした。あれ以上の量は必要無いと思います。

      バトンさんの映像がとても貴重で、あれはNHK所蔵の映像なのでしょうか。戦後まもない頃のニュース映像も多数保管しているはずで、そこはさすがだなと感じます。

  5. Yuki より:

    Junさん こんにちは
    一言たりとも聞き逃したくないというような良番組でしたね。
    局外の真摯な仕事をする人が作るとこんなにいい番組が作れるのかと驚きました。
    平昌前のNHKスペシャルは癒着と忖度が透けて見えてなんとも気分が悪く編集して一応ディスクに落としましたが本体からは消してしまいました。
    3人3様の興しろい切り込み方がスケーター羽生結弦を立体的に浮かび上がらせてどきどきしながら見てました。
    プルさんは本当に羽生くんに3連覇をしてほしいのだなと思えましたし
    ラストのハビの言葉には涙が出ました(ハビも涙ぐんでいたような)。
    バトン爺様は痛快で大笑いさせてもらいました。
    やはり3人の人選がすばらしく、かつ製作者が誠実な対応をしたことでこういう良い話を引き出せたのだと思います。
    私も再放送が編集されるという噂は聞きましたがどこをどう替えたかで誰が横槍を入れたのかが分かるのである意味見ものですが、やはり製作者の意図を大切にするのは一番大事ですよね。
    ハビは以前にも自国で羽生君のことを聞かれたときに「彼は良い子だよ。でもおかれている環境が・・・」と話していたということなので、ずっと以前からスケ連やアンチたちのことを把握していたのだと思います。
    というか、プルさんも知ってますよね。海外解説者たちもときおりぽろっと話したりするので、有名なんだろうな。恥ずかしい国です。
    NHKもこの番組を地上波で流すくらいの気概があれば感心しますが、おそらく無理でしょう。
    でも今回あの番組をリアタイで見れたのは本当によかったです。宝物の一つになりました。

    • Jun より:

      Yukiさま

      のっけからバトンさんが、プルさんのスピンを批判している所から始まるので、ここをカットしないだけでも制作者のセンスが光っていて、感心しました。

      「日本の状況」は、まぁ世界の関係者もよくご存じのはずです。ただ、試合をやればチケットが完売するのは日本だけですし、スケートファンの絶対数が多いので、いろんな人がいるのは仕方ないところですね。

      ただ、この番組の評判は、おそらく日テレやテレ朝の関係者も把握しているはずで、「もっと良いものを作ってやるぞ!」と発奮してくれることを期待したいです。一方、お宝映像をたくさん持っているはずのフジが、まともなドキュメンタリー一つ作れないのは、情けない限り。「新たに作る」のが無理なら、テレ朝チャンネル2のように、フジのCSチャンネルでもフィギュアスケートをもう少しまともに取り上げてもらえればいいなと感じます。

  6. sennin より:

    タイトルを見たときにユヅフアンならあの時のハビの話は知ってるし、また名前を使ってさほどの内容では無いだろうと仰るように警戒していた一人です。しかし、阿部さんのコラムを読んで感動しまして、この人は何者?と色々調べた結果局員ではなくこの番組のディレクターだとわかり、Twitterをみたらプル様やハビとのツーショットもあったのでしっかり地道に足を運んで取材したのだと思って直ぐに録画セットしました。コラムの中にアンチの事が書いてあって不思議だったのですが、阿部さんはソチ後に真央ちゃんをやって次は当然羽生結弦だろうときめてたそうですので沢山調べたのではないでしょうか?当然皆さんのブログやTwitterもみたでしょうね?バトンはともかく有名ではあるけどプル様の起用等結弦君にとって大事な人を迷いなくピックアップしたものと思われます。ブライアンを起用しないあたりが気が利いてますよね?阿部さんの2018、4月15日のツイご覧なりましたか?週刊誌の件、ヤフーニュースで取り上げていたのを阿部さんは擁護するツイートしているんですね。ヤフーの記事は消されていますがCwWの直ぐ後ですのであの時の事かと思われます。私はこれを読んだだけで信用しました。

    番組は全体的にシンプルに仕上げっているのに心を打つ内容でした。バトンさんをあそこまで取材している方は居なかったと思いますし映像も初めてみましたね?オリンピックチャンピョンだけあってスケーティングもジャンプも美しいですね?いいもの見せてもらえました。いい感じで結弦君の映像が入り、プログラム曲の挿入もバランスよく最後にノッッテステラータ…。感涙以外なかったです。震災を取り上げなかったのも特徴でしょうか?嘘のない誠意溢れる番組作りをされる阿部さんには、羽生結弦引退後も是非製作して欲しいと思いました。

    • 星野光 より:

      NHKさん。アナザースト-リ-ズ、羽生結弦の最強伝説、放映を有難うございました。
      3者3様の素晴らしいインタビューでしたね。ちょっと褒めすぎ感はありましたが、夫々の言葉に頷くばかりです。
      バトンさんの劇場は常日頃感じていた事を仰って下さいました。ジャンプだけでなく、流れのあるドラマ性が大事と言われています。そして羽生君には好きに滑るようにとの助言でした。
      プル様は2連覇の難しさを知るだけに、それを成し遂げた羽生君をリスペクトしながら、長く続けてスケートのレベルを維持して欲しいと思われていますね。
      ハヒエルさんは良き友、お兄さん的で、彼との長いスケートを通じ、羽生君の進む道を見守ってくれる優しい選手です。
      羽生君はどのスケート演目も演じきる能力、技術、芸術を兼ね備える、ちょっと感情の出過ぎる面もあり、冷静な面もある魅力溢れる選手です。
      多くのフィギュアフアンに観て欲しい番組でした。3人の先輩方、羽生君を支えて下さり有難うございます。怪我に打ち勝って多くの皆様に元気な姿を見せて下さるのを願っています。

      • Jun より:

        星野光さま

        プルさんが、「五輪王者が現役続行することの意味」をビシっと語ってくれたのは、説得力がありましたね。明確に目標とされるスケーターがいるからこそ、他の選手たちも上を目指して努力する。

        逆に、五輪王者がいなくなってしまうと、「上を目指す」というより、自分の周りのライバルを意識することになるので、つまり「上ではなく横を気にする」ことになる。向上・進化するための質が違ってくるはずで、それをプルさんも実感を込めて語っているのでしょうね。プルさんの、羽生君に対する「エール」は衝撃的でしたが、フィギュアスケートのレベルを引き上げるということを考えると、誰よりも向上心を持って取り組んできた羽生君がいないと、男子のレベルが停滞するという危機感を持っているのだと思います。

    • Jun より:

      senninさま

      ちゃんと阿部さん本人が現地に行って取材をしただけでなく、御三方と会って何をするかが、事前に相当緻密に練られていたようですね。

      バトンさんやハビの映像では、羽生君の動画を見ながら、コメントしてもらっていましたが、ハビが「これを見たのは初めて」と語っていたのはやはり印象的でした。「自分の演技も見ない」ということでしたから、彼のそんなスタンスを知れただけでも収穫ですよね。

      ブライアンではなくハビを選んだというのも正解でした。ブライアンは現在進行形でチームの当事者ですし、「肝心なことを喋ってくれないことがある」のは阿部さんも気づいていたと思います。番組の中での書籍紹介では、『チーム・ブライアン』や『メソッド』を使わずに、『蒼い炎』を使ったのは、「いまいち野口さんを信用しきれない」と阿部さんが感じていたのであれば、相当なリサーチ能力ですが・・・これはあくまでも私の想像です。

      バトンさんのスピンはすごかったですね。手のかわいらしい所作が壷井達也君に似ているのは、偶然の一致でしょう。かっこいいおじいさまでした。