STORY BOOK『Echoes of Life』感想

STORY BOOK『Echoes of Life』感想

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「羽生さんの剥き出しで生々しい言葉の数々」が、読了して真っ先に印象に残った点ですかね。

以下、私が理解した範囲で、大まかな内容をまとめておきます。事前情報ゼロでショーを迎えたい方、ストーリーブックをこれから読まれる方は、ネタバレ要素を含みますのでご注意ください。

時代設定としては、SF的な近未来のお話で、この世界は、「人間」と「造られしもの」との戦争の末に数名の人間のみが生き残ったものの、その後、生存した人間を含む生命の全てが失われて、「壊れてしまった世界」だという。

「わたし」が、とある実験施設と思しき一室で目覚める所から話は始まり、「わたし」が長期間入っていたであろうカプセルには「VGH-257」「Nova」と記載されている。室内に保管されていた資料によれば、「VGH」とは、「遺伝子操作等により人工的に生み出された人間」とのこと。

部屋を飛び出した「わたし」の目の前に広がるのは、草木や大地が枯れ果て荒廃した世界。じっとしていられずに走り出した「わたし」は、あるところで背後に気配を感じて振り返ると、「異質な扉」が現れていた。その扉を開けて中に入ると、「ルームの案内人」なる存在に語り掛けられる。

ここから「わたし」の過去を含めた、様々なことが明らかになっていきます。この世界は、人手不足により教員・学校が激減し、義務教育制度も崩壊。人工的に生み出されたVGHが「適材適所」的に配置されることで、諸々の体制が維持されていた。

「わたし」は「元・人間」で、孤児院に送られた病弱な子どもだった。とある孤児院スタッフのVGHの厚意により保護を受けていた。しかし、「反VGH」を標榜する者たちにより、そのVGHは実験施設に収容されてしまう。結果的に「わたし」も病と飢餓により死亡。後に、戦闘兵器用のVGHとして「再生」される。しかし、「最期の戦い」の中で精神へのダメージが蓄積し、「感情の暴走」という不具合により、カプセルで眠らされていた。

かなり端折りましたが、このような感じでしょうか。いわゆる、「人間vsアンドロイド」というテーマがこの物語の着想の一つとしてはあるんでしょうが、VGHは、完全な人工物のアンドロイドとは違って、「元・人間」というのがポイントですね。

こういう話でまず思い浮かぶのが、「Detroit: Become Human」というアメリカ産のゲームで、日本でもいろんな配信者が実況した名作ですけど、あれは「人間の心に目覚めたアンドロイドたちが自分たちの権利を主張して反乱を起こす」というお話でした。

他だと、クイーンズライクというメタルバンドが『Operation: Mindcrime』(1988年)というコンセプトアルバムを出して、あの作品は「政府転覆のために薬物投与により殺し屋として洗脳された主人公のニッキーが、精神病院の中で目を覚まし、徐々に記憶を取り戻していく」というストーリーで、「社会によって利用される個人」という所がテーマとしてありましたね。

もちろん、「人間」と「造られしもの(=VGH?)」の戦争により世界が崩壊したということが一方であるんでしょうけど、羽生さんが描きたいのは「人間とVGHとの間の”個人的な関係性”」という所なんだと思います。あくまでも私の想像ですよ。

てか、「これって、2時間で収まります?」というのが正直な所。さすがに、「わたし」と「孤児院スタッフのVGH」の個人的なエピソードだけでは狭すぎるとはいえ、国家対国家、あるいは「人間派」対「VGH派」のようなスケールの「戦争」まで描くとなると、大作になっちゃいますよね。そして、「広島」でも開催されることをどう理解すればいいのか?

興味は尽きないですが、なんだかんだで1週間切ってますからね!「待たせすぎない」という意味では、良い時期のSTORY BOOK配本だったような気がしています。

では、また明日!

Jun


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