ワールド(男子フリー)感想(1)

ワールド(男子フリー)感想(1)

少し日にちが空いてしまいましたが、しっかりレビューしておきます。リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」。フジのワールド特設サイトは「こちら」で。

https://www.youtube.com/watch?v=nNLNTVSIOTc

刑事君。フリーは159.64の11位。合計238.40の14位。ショートの19位から5つ順位を上げました。これは、これまでの「刑事比」で見ても、最高レベルの名パフォーマンスだったと思います。クワドこそ冒頭の4S-2Tのみに留まっていますが、3Aは2本降りて、すべてのジャンプをクリーンに着氷。回転不足もエラーも無し。日本男子の「3枠目不要論」に対して、「んなことねーぞ!」ときっちり仕事をしてくれたと思います。

このウィリアム・テルを今季初めて見た時は、「お馴染みのファンファーレからのコレオは、それまでジャンプをきっちり決めないと、盛り上がらんぞ!」と危惧していたんですが、すごい歓声と手拍子でした。福岡も、さいたま以上に盛り上げてくれることを期待しています。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=X_dG1PGK8fM

ジュンファン(46:27~)。フリーは150.09の18位。合計229.26の19位。彼本来の力からすれば、まったく不本意なスコアと順位なんですけど、靴に問題があった件が、後日明らかにされて、苦労の多いワールドとなりました。

4Tと後半の3連コンボでは転倒があったので、URもやむなしという感じですが、3A-2Tのセカンドの回転不足はもったいなかったですね。ただ、ショートでは、4Sと3A両方にURがついたのですが、フリーでこの2種類のジャンプで刺さらなかったのは好材料。まだ若いですから、北京五輪に向けてすべてが収穫になるはずです。これから、メラメラモードの羽生君から日々刺激を受けて、彼もまた殻を破ってほしいなと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=ZuYMgPmJQ80

コリヤダ(7:20~)。フリーは178.21の6位。合計262.44の6位。この人の所作の素晴らしさについては、私のSPの現地観戦記や、コメ返でも熱く語らせていただきましたが、このフリーを現地で見れた人は、本当に羨ましいです。マスコミおよびライトファンの間では、男子フリーは「羽生vsネイサン」という構図で語られて、もちろん二人の間ではハイレベルな勝負になりましたけど、「フィギュアスケートが持つ本来の美しさ」を表現した演技として、羽生君のOriginに次ぐ存在感を見せていたと思います。

冒頭の4T-3Tには、「これを見たかったんだよ!」と、テレビの前で思わず拍手をしてしまいました。その後のミスは単発の4TのSOと、3Fのエラーぐらいで、シャープで一切無駄な動きがなく、それでいて自然な身のこなしにはため息が出るほど。コリヤダのスケートを表現する時は、私もまるで高山真さん風の言葉遣いになってしまいますね。この演技で、彼も自信を取り戻してくれたはず。国別ではさらに彼本来の実力を存分に見せてほしいなと思います。

ボーヤン(38:28~)。フリーは178.45の5位。合計262.71の5位。冒頭の4LzにGOE+2.46。ネイサンの4Lz(+4.76)の素晴らしさが言われてますけど、ジャンプの高さと迫力で言えば、まだまだボーヤンのルッツの方が上だなと思います。「ボーヤン比」で言えば、着氷はパーフェクトではないですが、かりに文句無しの着氷だったとしても、+4.76以上つけないだろうなぁ・・・と容易に想像できるのが、現在のジャッジングシステムの罪深い所です。

4T-2TのクワドトウにURがついているんですが、だったら、後半の単発の4Tの方が回転は足りてないのでは?と、この辺りもよく分かりません。楽曲のインパクトでいえばSPのビートルズのカバー曲ですけど、このフラメンコは、後半徐々に彼のここ数年の表現面での努力が結実しているというか、音を身体にまとうような動きで、「ほうぅ!いいじゃん!」と声を上げてしまいました。ジャンプが本調子に戻れば、メダル争いに確実に食い込んでくる実力者ですから、もうひと頑張りですね。

ブレジナ(46:11~)。フリーは167.32の8位。合計254.28の8位。このプロについては、I’m a ManとThunderstruckを聴けるからという理由で、ジャンプの出来・不出来度外視して毎回楽しんでいるんですが、今回はジャンプも素晴らしすぎるじゃないですか!ミスのあった3Fも、「わざとじゃねーの?」と演出にさえ思えるほど、ロックな内容でキレキレでした。もし私が現地にいたら、Thunderstruckからは、手拍子じゃなくて、首がちぎれるぐらい頭を振りたい衝動に駆られること確実なんですが、でも、それをやったらマナー違反で周りのお客さんに睨まれそうですね。

振り返ってみると、楽しい演技がいっぱいあるなぁと再認識。明日は最終グループ全員をみっちりレビューします。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. Fakefur より:

    コリヤダといい、ザギちゃんといい、カルメンの呪いがようやく解けましたね。(あ、コフトゥンは残ってた・・・)

    コリヤダのこのFSは何度もリピートしてます。昨日からコメ欄で熱くコリヤダを語ってますが、この人の音楽表現と、上半身がぶれない安定したポスチャーはもっとPCSに反映されても良いですよね。本来のこの人のジャンプは高く、クリアですし、たとえジャンプが不調でも、フィギュアスケートの美しさを伝えられる数少ない現役選手だと思います。主流のクラブじゃないからでしょうか、ロシア国内での扱いが酷い。もっと大事にしてほしいです。リーザといい、国別で観れる人が羨ましいです。

    田中選手も4Sコンボが決まって良かったです。今シーズンは2回観ましたが、エキシでは水を得た魚のごとく生き生きしているのに、本番では苦しそうな顔ばかりでした。氷上で見ると、長身がっちりの大人の男らしさがあって、筋骨隆々な白人スケーターに見劣りしない迫力があります。

    4Sは2番目に簡単なクアッドという位置付けですが、宇野選手は得意でなく、友野君もずっと苦労していますし、今回は羽生選手ですら手こずり、勝敗を分けるほど影響の大きいジャンプになってしまいました。エッジと氷のコンタクトというのは想像以上に繊細なものなんですね。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      まさに!と思わず膝を打ってしまいました。「カルメンかぶり」には今季辟易していましたけど、いい演技をしてくれれば、そんなのは二の次ですよね。ザギちゃんもコリヤダもコフトゥンも、イマイチだったからこそ、「またカルメン(でミスを見せられるの)か」という印象が強かったのです。

      刑事君のジョジョについては、地上波の実況スレなんかを見ると、「予想以上にクオリティたけぇ」「田中はこれで試合でろよ!」とライト層からも好評でした。仗助へのなりきりをきっかけに、オラオラ風味のマッチョ感のあるプログラムにチャレンジしてみてもいいんじゃないかと。来季は「両プロともに新作」という話ですし、期待したいですね。

      • Fakefur より:

        私も、刑事君はマッチョなプロで、音楽でメンタルをグイグイ上げていくほうが良いと思います。SPのゲイリー・ムーアは、大人の男の色気が前面に出る良プロなんですが、何せ4Sが決まらないと表情が曇り、苦悩するブルーズギターが強くなってしまう。佐藤洸彬君のSPも良いですが、マッシモ・スカリは男らしさが光るプロを作りますよね。

        話が逸れますが、日本人男性と独人女性のカップルは、逆の組み合わせに比べるとと1:50ぐらいに希少な組み合わせですが、現地女性をパートナーに持つ日本人のタイプは、刑事君のように、目力が強く、がっしりしたタイプが多いです。こちらの女性にとって、筋肉のある力強い男性はかなり魅力らしいです。ちなみに日本と違って、頭髪の有無は殆ど問われません。

        • Jun より:

          Fakefurさま

          佐藤君は、マッシモ作のSPがかっこいいので、操先生が作ったフリーの「革命」もそれに寄せているなぁと感じました。

          ただ、マッシモの作るプロってけっこう癖があって、無良君の「ファルーカ」はかなりの難プロで、読者の皆さんとよく話題にしていたのを覚えています。そういえば、樋口新葉ちゃんは、マッシモ作のシェヘラザードやジプシー・ダンスを滑っていましたけど、今季は両プロともにシェイリーン(正確には、フリーは佐藤有香さんだったのが、シーズン直前で変更)でした。

          舞依ちゃんがデイヴィッド、花織ちゃんがリショーという感じで、なんとなく来季も新葉ちゃんはシェイに両プロお願いするような予感がします。