「Number PLUS 銀盤に願いを。」(2)

「Number PLUS 銀盤に願いを。」(2)

さて、今日は「おっ!これは!」と思った部分を、いくつかピックアップしてみます。

「ユヅのすごいところは、2度も五輪金メダルを取ったのに、まだモチベーションを失わずにトップで争い続けていること。技術的にはとても体が柔らかく、力まずにジャンプを跳んでいる。またトリプルアクセルが上手い。あの技術は世界でもベストだと思います

「(4Aを跳べるか?)オー、イエス!」

「(4CCでプロを戻したことについて)その前のプログラムは、ユヅという感じがしなかった。四大陸の、特にSPは素晴らしかったですね」

ブライアン・ジュベールのインタから紹介しました。「6点満点」の旧採点時代のフランスのレジェンドスケーターですが、06年に現採点になってからフリーで始めて4回転を3本成功させています。現役引退は14年なので、羽生さんがソチで勝った年ですね。彼はまた、近年のアジア系クワドジャンパーの台頭について、「身長も高すぎず、体が機敏で回転が速い。空気の抵抗も少なく、無駄な力を使わずにジャンプができる。僕たちの世代は、僕にしろ、エルビス(・ストイコ)、エフゲニー(・プルシェンコ)にしろ、体の大きな選手ばかりだった。だからせいぜいフリーで3度の4回転が限界だったのだと思います」と語っています。

ここからは私見ですが、彼は語っていないですけど、「細い」だけでなく「小柄」というのも、ジュニアの男子選手の特徴でもありますよね。駿君や鍵山君のような「アジア系スケーター」に限らず、ロシアのサムソノフはさらに小さい。もしかすると、男子における「アジア無双」時代も少し変わってくるかもしれません。

「(4CCでのプログラム変更について)プログラムの変更は多いわけではありませんが、昔のプログラムに戻すことは意外とあります。僕も経験がありますから、驚きはありませんでした」

「ショートプログラムの『秋によせて』、フリーの『Origin』を全日本選手権まで滑ってみて、狂いがあったんじゃないでしょうか。本人しか感じない部分だと思いますが、滑っていて体力の消耗が激しかったりすると、プログラムの中でジャンプのタイミングなど呼吸が合わなくなる。すると焦りが出てミスが出る。世界選手権をにらみ、勝つためにはどうすればいいかを考えたときに、自信のあるプログラムを、と思ったのではないでしょうか」

「四大陸選手権では、ショートであれだけの演技をして世界最高得点を出せた。プログラムへの安心感、滑りやすさという部分を感じました。フリーは幅広く知られているプログラムだけに、比較される難しさがあったと思います。過去の自分との闘いですよね。試合ではジャンプのミスもあったけれど、4回転ルッツを入れたり、演技時間のルールが変わって30秒短縮されたこともあり、違うプログラムとして成立していたように思います

こちらは、本田武史さんのインタから。OtonalとOriginについて、「本人しか感じない部分だと思いますが」と但し書きをした上で、「体力の消耗の激しさ」という部分を指摘しています。バラ1やSEIMEIも、それこそ「休む間もない」濃密なプログラムのように思うのですが、この辺りは、本人のコメントを待ちたいと思います。

そうそう、本田さんの指摘で考えさせられたのが、ネイサンの「調整能力の上手さ」という部分なんですよね。

彼はシーズン前半はあまりジャンプを入れません。4回転ジャンプを3回くらい、しかもトウループのような彼にとって簡単な種類のジャンプです。そして次の試合になったら1つ増やし、次はもう1つという具合に進める。目標とするところから逆算していく。そういう能力も高いですね

そりゃ、あのガラガラのUSナショナルを見れば、調整も許されるわけですよ。しかし、羽生さんの場合、オータムから超満員ですし、地上波の情報番組でさえ「今回4回転はどれを何種跳ぶ?」みたいなことが報じられるし、何よりも、羽生さん自身が、「怪我でもなければ構成を落とすという選択肢は無い」という考えの持ち主ですからね。

よく、ネイサンのスケートについて、クワドや3Aの前の助走の長さ、繋ぎの少なさを取り上げて、「だからミスが少ないんだよ」と私自身も感じていました。ただ、それ以前に、羽生さんより5歳も年下の彼が「試合を選んでいる」というのは、4回転時代における一つの有力な闘い方なのかなと思います。

もちろん私は、「ゆづもネイサンみたいに省エネしろ!」なんて微塵も思ってなくて、羽生さんのこれまでの闘い方含めてリスペクトしているし、だからこそ応援したいと心から思えるのです。闘い方は人それぞれ。でも、羽生さんは特別です。彼のやりたいようにやればいいと思っています。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    買って良かったと思わされた一冊でした。まず、写真が美しい。榎本さんや高須さんの写真はレアかな、と。特に榎本さんの1ページアップの写真に心が掴まれました。

    福間さんへのインタは質、量共に充実していましたね。私は、2015年のGPF映像とコラボした演奏を現地で聴きましたが、羽生選手不在の寂しさを一瞬忘れる程のプロのクォリティでした。そういう芸術家が、羽生選手のバラ1を手放しで褒め、プログラム変更に深い理解を示しているのは嬉しいですね。また、プログラムが変わっても、パフォーマンスは一期一会という考え方に羽生選手との共通点を感じました。だからお互いリスペクトしているのかな、と。

    佐野先生も、ジュベールも、同様にプロ変に賛同されてますね。2人の羽生評もとても興味深いもので、だからこそ今季世選を迎えられなかったことを残念に思います。

    ところで、私はネイサンの戦い方は、対戦相手に合わせて変えているように見えて余り好きじゃありませんでした。でも、少しずつステップアップしていくというコンセプトなら、あり なのかも知れませんね。こういう戦い方も含めて今後、年齢とも勝負しなければいけない羽生選手がどういう戦術を取るのか注視したいです。
    2日分の記事の感想で、長くなり申し訳ありませんでした。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      例年、このNumber PLUSは「装丁は美しいけど、中身がねぇ・・・」と不満だったんですよね。そもそも、Number本誌の方も微妙だし。

      しかし、今回は「やればできるじゃないか!」と称賛していいクオリティではないかと。福間さんの所は、映像を見比べながら、また読み直してみたいと思っています。

      20歳のネイサンでさえ、そういう省エネをしなきゃいけないということは、それだけクワドの負担は大きいということですね。闘い方は人それぞれ。誤審は許しませんが。