「Quadruple Axel 2021 シーズンクライマックス」(3)

「Quadruple Axel 2021 シーズンクライマックス」(3)

引き続き、「Quadruple」のレビューです。今日は、伊藤聡美さんのインタをご紹介します。

――今シーズンは、羽生選手のショートプログラム『Let Me Entertain You』とフリープログラム『天と地と』の衣装製作を担当されたとうかがいました。オーダーを受けたのは、いつごろだったのでしょうか?

昨年の5月から6月ごろに「曲が決まりました」という連絡をいただいて、実際に作業にかかったのは7月か8月だったと思います。最終的に修正が終わって納品したのは、フリーが11月。ショートのほうはけっこう大変で、全日本選手権の直前ギリギリまで時間をいただきました。

――それだけ修正作業を重ねたのですか?

そうですね。フリーのほうは2~3回でしたが、ショートに関しては4~5回、実物を郵送して修正のやりとりをしました。

――上下黒の衣装は珍しい選択だと思いましたが、この曲に対するイメージがあったんですね。

そうですね。デザイン画でゴールドの衣装も提案させていただいたんですけど、そのなかで黒のデザインを選ばれたので、やはりこのイメージだったんだと思います。

――ジャケットに合わせたグローブもかっこいいですね。

これも、「グローブが欲しいです」という羽生選手サイドからのリクエストで作りました。このグローブはけっこう凝っていて、よく見ると指先のベージュのところまで生地がつながっているんですよ。「氷に手をついたときに指を傷めてしまうので、指先まで生地をつけてほしい」という要望があったので、ベージュの素材を使って、指抜きグローブのように見せています。こういうリクエストは初めてでしたね。指の長さを強調しつつ、動きをシャープに見せる効果もあるのではないかなと思います。

「LMEY」と「天と地と」の衣装についての伊藤さんのコメントは、「カルチュラルブック」が初出でしたが、そちらのインタでは「天と地と」が中心でした。今回、「LMEY」の衣装に関して、これでもかと新情報が飛び出してきて、私自身かなり興奮しながら読みました。

「LMEY」のデザインとして、伊藤さんから「ゴールド」も提案していたというのは、驚きました。「羽生さんとゴールド」と言えば、「FaOI2017」の前半戦のオープニング衣装が真っ先に頭に浮かびました。ただ、羽生さんが黒を選んだのは、FaOIの「記憶の残像」があって避けたのか、あるいは、ロビーの「アルバムジャケット」のイメージを踏襲したかったのかもしれませんね。

正直、全日本直後のネット上の意見の中には、「SPの衣装はちょっと・・・」というものも目にしたんですけど、特にグローブについてこれだけの創意工夫が隠されているのだから、改めて映像をチェックしてみたくなりますよね。

ちなみに、この他にも、ベルトについて、ジャケットの丈の長さ・幅、ジャケットからのぞくTシャツの見え方、パンツの素材と、伊藤さんはつつみ隠さずに語ってくれています。

さらに、「天と地と」に加えて、「春よ、来い」の裏話も登場しています。あの「ヒラヒラ」の部分について、伊藤さんと羽生さんのやり取りも、「へえ・・・」という感じで興味深かったです。

――素敵なお話をありがとうございました。最後に、羽生選手へエールの言葉をお願いします。

ケガには気をつけて、自分の思想を貫いて頑張ってください!

男子の衣装の「簡素化」に抗って、アートの部分にも拘ってきた伊藤さんだからこそのエールですよね。でも、いつもクールな(?)彼女からすると珍しく、「こんなものも似合いそう、こういうものも着てもらいたい、というアイデアがあふれてきてしまう」と羽生さんについて熱く語っている部分もあります。全文必読ですので、ぜひご購入ください。

では、また明日!

Jun


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