「Quadruple Axel 2021 シーズンクライマックス」(4)

「Quadruple Axel 2021 シーズンクライマックス」(4)

引き続き、「Quadruple」のレビューです。今日は都築章一郎先生のインタをご紹介します。先行して発売された「Ice Jewels Vol.13」のインタでは、若干の違和感を覚えたのですが、今回は掛け値なしの素晴らしさです。安心して読めると同時に、羽生さんの幼少時代から、そして彼の未来に対して、先生が半ば興奮気味に語っておられるような印象も受けました。

織田君や伊藤さんのインタと同様、ぜひ全文読んでいただきたいと思うので、今回も、ピンポイントの紹介に留めておきます。

――このプログラムの振り付けは、都築先生でいらっしゃいますね。曲名に『ロシアより愛を込めて』とつけられたのは、どんな理由があったのですか?

じつは、使っている音楽の曲名が、当時はわからなかったんです(笑)。向こうのコーチが音楽を持ってきてくれたのですが、ロシア語だったので曲名がよくわからなくて、それで、そんな名前にしたわけなんです。

――プログラムのなかで、『黒い瞳』などのフレーズが使われていますね。

そうですね。『黒い瞳』や『カリンカ』は、佐野稔の時代にロシアのスケーターがNHK杯などのエキシビションで使っていて、非常に感銘を受けたものです。私自身がロシアのフィギュアスケートに憧れていた、ということも大きいと思います。

このエピソードは初めて知りました。これは羽生さん知っていたんですかね?ふと思ったのは、「Hope & Legacy」とか「Origin」とか、羽生さんはプログラムに自作のタイトルをつけることがありますよね。もちろん、他のスケーターでも珍しいことではないですが、もしかしたらそんな部分も、都築先生の影響を受けているのかも?と勝手に想像しました。

――幼少期に直面した困難としては、ホームリンクだったアイスリンク仙台が04年に閉鎖になったことも、当時、小学4年生の羽生選手にとって大きな出来事だったとうかがいました。

そうですね、本当に。ちょうど技術も伸びて、フィギュアスケートがさらに面白くなっていた時期だっただけに、やっぱりそういう環境になってしまって、彼も非常に悩んだ時期がありました。リンクの閉鎖もあって、私とは別れたわけですが、その後、週末にお母さんと一緒にこちらへ来られて、1泊してレッスンして帰っていく、という時期がありました。

実を言うと、羽生さんの独占インタの部分で、個人的に「おや?」という部分があったんですよね。その該当部分を引用します。

――1回目の緊急事態宣言のあと、リンクの閉鎖などによってスケートができない時期はどのような思いがありましたか?また、氷上練習を再開されたとき、氷に乗った瞬間にどんなことを感じられたか教えてください。

スケートができなくなる期間があることには慣れているというのが、いいことなのか悪いことなのかわかりませんが、動揺はなかったです。・・・また、震災のときや、小学4年生のときに経験した、「一生スケートができなくなるんじゃないか」という感じではなく、いつか宣言が解除されて、また滑ることができるという希望が見えていたので、苦しくはありませんでした。

羽生さんのインタを読んでいた段階で、「小4の経験って?」と即座に分からなかったんですが、アイリンの閉鎖のことだったんですね。確かに、小学生の自分の力だけではどうしようもないと、無力感を感じたことでしょう。ただ、震災と同じぐらいショックな出来事だったとは知りませんでした。

――前人未踏という意味では、4回転アクセルを試合で成功させることも大きなモチベーションになっているとおっしゃっています。また、オリンピックの3連覇も実現されたら、男子シングルでは前例のない偉業になりますね。

オリンピックの3連覇はいままでに例がないわけですから、その夢の世界を彼が実現してくれるのかどうか。これから1年、ひとつの大きな歩みになってくるのではないかなと思います。そのためには羽生ひとりではなくて、彼をバックアップする総合力が必要な気がします。(アレクセイ・)ヤグディンが(ソルトレイクシティ)オリンピックで優勝したときに、一緒に合宿を見たりしましたが、やっぱりロシアという国はチャンピオンをつくるために国を挙げてバックアップしていましたから。そうした体制も必要だと思います。

先生、残念ながら、それは無理です・・・。日本国内はもちろん、世界にも敵だらけで、すでに羽生さんの五輪3連覇を阻止するためにあの手この手の嫌がらせが横行しているじゃないですか。そもそもコロナ禍にあって、羽生さんは自分自身のアスリートとしての名誉よりも、人としてどう生きるかということに重きを置いて、リミッターをかけている。静かに心を燃やしながら、自分の求めるスケート道を歩んでいるように見えます。

まぁ、ワールドが本当に開催されるか、まともな採点が機能するか、ですよね。羽生さんのファンとしては、プログラムは最高だし、怪我の情報も特に発表されていないので、全日本の時ほどの「恐怖心」は無いです。ただただ、彼を信じるのみですね。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. 雪女 より:

    こんにちは!
    『ロシアより愛をこめて』は都築先生がつけられたのですね。題名だけ聞くと007?
    プログラムコンサートのガイドブックにも先生のコメントがありましたので、見返してみました。Junさんのおっしゃる通り、この辺は都築先生の影響でしょうか。複数の曲を編曲すると、オリジナルのタイトルをつけていますが、『天と地と』は、このタイトル以外考えられませんね。
    リンクの閉鎖の影響で、羽生選手は2005年と2006年のノービスB,ノービスAの大会で優勝できませんでした。羽生選手のような天才といえども、やっぱり練習大事! でもその前後の年のノービスB,Aの大会で優勝、全中も3連覇と、挑んだタイトルは全部とっているのじゃないでしょうか。改めて凄い選手だなあと思います。

    • Jun より:

      雪女さま

      今回の羽生さん関連のインタは、みんな大ボリュームで、私が紹介したのはほんの一部なんです。

      雑誌の方はアマゾンは品切れになっていて、Kindleでしか買えません。Quadrupleは久々に買った気がしますが、毎回これぐらいやってくれれば・・・と老舗の本気を見ました。

      羽生さんのノービス時代の情報もありがとうございます。才能に甘えず、努力を怠らない。都築先生もおっしゃっていましたが、親御さんの教育も本当に素晴らしいと思います。