「Number PLUS」の続きです。羽生さん関係の記事はすべて目を通しましたが、2020年1月の「羽生結弦プログラムコンサート(Music with Wings)」に関与した、指揮者の永峰大輔さんと、テノール歌手の中鉢聡さんのインタビューが印象的でした。
このプログラムコンサートは、正直企画が発表された時は、コンサートとしてどう成立するのかまったく想像できなかったんですよね。私自身は公演のチケットは取らず、テレ朝チャンネル2で視聴したんですが、いやぁ、素晴らしかったですね。当時のレビューについては、以下をご覧ください。(1)(2)(3)
永峰さんのインタでは、プログラムコンサート実施にあたっての「苦労話」と、「オペラ座の怪人」と「Origin」について詳しく踏み込んでくださっています。特に印象的だったのは以下の部分です。
コンサートを指揮する中で「羽生選手は音楽を大事にしている人なんだな」と感じたことも思い出します。それは曲の編集の部分です。実は、フィギュアスケートを観ていて、「尺に合わせてこんなカットの仕方をしてしまうんだ」と残念に思うことが多々あります。正直、羽生選手の最初の頃のプログラムにも少し無理がある編集をしていると感じたものもありました。でも年を重ね、経験を積むにつれて、その違和感がなくなっているのが分かります。音楽を理解されていることが感じられて、うれしかったですね。
それはもうやっぱり、矢野桂一さんとの「共同作業」によって、楽曲のクオリティが一気に上がったことも大きいかと思います。ウチにある雑誌の中で、矢野さんの最も古いインタは「Life Vol.4」だと思いますが、そこではSEIMEIにおける編曲の話が詳しく語られています。おそらく、その後のプログラムで、関与の大小の差があるとはいえ、矢野さんの手の加わっていないプログラムって無いんじゃないでしょうか?
今後「Music with Wings 2」が実現するとしたら、「天と地と」は確実にプレイリストに加わるでしょうけど、琵琶、琴、そしてハープの奏者を呼んだら、さらに大規模になりそうですね。ワクワクしちゃいます。ちなみに、テレ朝チャンネル2で5月1日に「再放送」があるそうですよ。
そして、声楽家の中鉢さんも絶賛されてます。いつも思うんですが、プロの芸術畑の方が「羽生結弦」を語る時、なんの遠慮も忖度もなく素晴らしさを語ってくださるので、言葉がアツいですよ。
・・・(Notte Stellataは)派手なジャンプやスピンで見せるプログラムではないのに、ゆったり流れる音の間も、長い手足を大きく使って感情を表現し続けている。それが僕が想像していたよりスピード感があって、なおかつ優雅なんですね。これは凄いことをやっている人だと驚嘆しました。
加えて筋肉を使い続けてしんどいなかでも、観客に「ブレス」を感じさせないんですよね。音楽で言えば、オペラを演じている時など、1人で歌うアリアの場面で“スーッ”とブレスをしてしまえば、そこまでの芝居が途切れてただの「歌」になってしまう。前奏から気持ちを埋めていき流れのまま歌に入ることが大事なのですが、彼も同じことをされていたんです。
もうね、オペラ歌手やってみませんか?ってね(笑)。もし彼がフィギュアスケートではなく音楽を志していたら、これまた恐ろしい音楽家になっていたと思いますよ。
昨日の記事の中で、「羽生さん、作曲したら?」なんて書きましたが、その遥か上を行く評価でした。まぁでも、FaOIでのToshIさんとの「本気のリハーサル」のやり取り等を思い返せば、納得です。
しかし、ここまでアツい思いを語ってくださっているので、本心は生で共演したいと思っているはず。そんなビッグプロジェクトも、羽生さんがプロに転向してからの話でしょうが、夢が膨らみますね。また一つ楽しみが増えました。
では、また明日!
Jun