伊藤匠新叡王誕生!

伊藤匠新叡王誕生!

正直言って、この第五局で伊藤匠さんが勝てるとは思っていませんでした。振り駒で藤井聡太さんが先手番を取り、持ち時間・形勢ともに、藤井さんが夕方前までリード。こりゃ、このまま押し切るかな・・・と将棋ファンは誰もが感じていたはずです。

ところが、伊藤さんが指した104手目△7六歩に対して、AIではこの歩突きを手抜いて▲3四金と攻める手を推奨していたのですが、藤井さんは▲6六銀とかわす手を選択。これに続いて、伊藤さんが106手目に△8六歩と隣りの筋の突く手に対して、AIは同様に手抜いて▲3四金をしつこく推していたのですが、藤井さんは▲8六同歩と応じて以降、伊藤さん有利に形勢が傾きました。この▲8六同歩に40分以上持ち時間を費やしたことで、藤井さんは持ち時間が無くなり、傾いた形勢をひっくり返せず、伊藤さんが押し切った形になりました。

それにしても、伊藤さんの凄い所は、昨年秋の竜王戦七番勝負を0勝4敗のストレート負け、年明けの棋王戦五番勝負を0勝3敗1持将棋と完膚なきまでに藤井さんにやられていたものの、この叡王戦で3勝2敗と3つ勝ったのは、不屈の闘志と言わざるをえません。常識的に考えれば、心が折れて、将棋の研究にも身が入らず負けが込んでいても不思議ではありません。

そして、伊藤さんは、藤井さんのドル箱戦法とも言える「角換わり腰掛け銀」という戦型から逃げず、その研究を独自に深めていたことも素晴らしい。「無限に広がる角換わり腰掛け銀のAIの推奨手順を暗記しても、藤井さんには届かない」という感じで、トップ棋士と言われる人たちでも角換わりを指さなくなる傾向が強くなっていたのです。そんな中でも、しぶとく角換わりの勉強を続けられる根性。クールなガリ勉風のルックスですけど、根性ありますよ!

あとはやっぱり若さですよね。疲労困憊状態の最終盤の1分将棋になっても、ミスをしない「脳内体力」は、やはり20代の棋士の特権と言えるのかもしれません。

これにより、最近顕著だった「角換わり離れ」の流れに一石を投じるかもしれません。「藤井さんを倒すにはやっぱり角換わりしかない!」「伊藤さんにできたのだから、俺もできる!」。そんな若手棋士が続いて、将棋界を盛り上げてくれることを期待します。

まぁ、そもそも八冠を維持する必要なんてないし、将棋会館でスーツ姿で予選を戦う藤井さんも恋しいと思っていました。私が心配するまでもないですが、スパっと切り替えて、棋聖戦と王位戦の防衛目指して頑張っていただきたいと思っています。お二人とも、お疲れさまでした!

では、また明日!

Jun


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