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どちらが挑戦者になっても「タイトル初挑戦」になるので、2月から開幕する棋王戦五番勝負は盛り上がると思います。この「挑戦者決定二番勝負」というのはやや変則的で、増田八段が本局を勝つと、増田さんが挑戦者に決定します。一方、斎藤五段は敗者復活戦からの勝ち上がりのため、「斎藤さんは増田さんから2勝しないと挑戦者になれない」というレギュレーションになっています。本局に斎藤さんが勝った場合、第二局はクリスマス前にはセットされるはずなので、年内には挑戦者は決定していることでしょう。
両棋士について簡単にご紹介します。増田康宏八段は現在27歳で、愛称は「まっすー」。A級順位戦にも参加しているトッププロの一人です。彼は、あの羽生善治九段も腕を磨いた八王子将棋クラブ出身で、幼少時代に羽生さんから指導対局も受けた経験があるとか。プロ入りは16歳(2014年)で、「西の藤井、東の増田」と並び称されるほど、関東の天才少年としてその才能を期待されていました。ただ、これは竜王戦で活躍した佐々木勇気八段にも言えるんですけど、天才ならではのムラッ気というか、格下にもポロポロっと白星を献上することも多く、出世街道を爆走する藤井聡太さんにどんどん離されていきます。ただ、実力は折り紙付きですから、着実に勝ち星を重ねていき、挑戦者決定戦までたどり着きました。実際、増田さんが挑戦者になれば、藤井聡太さんと言えどもまったく油断できない強敵になると思います。前述の竜王戦で藤井竜王から2勝した勇気さんに匹敵する実力者ですから、間違いなくタイトル戦は盛り上がるでしょうね。
一方、斎藤明日斗五段は現在26歳で、彼も19歳でプロ入りですから、若手棋士の有望株として注目されてきました。彼の師匠は宮田利男八段で、実は宮田門下から近年は続々とプロ棋士が誕生しており、いま関東では一番勢いのある門下かと思います。斎藤さんと修行時代に同じ釜の飯を食ってきたのが、伊藤匠叡王と本田奎六段で、両棋士ともにタイトル戦に出場していることから、斎藤さんも「自分も絶対にタイトル戦に出る!」と努力を重ねてきました。
メガネのガリ勉タイプが大半の将棋界にあって、斎藤さんは異色の棋士で、スポーツやレジャーが大好きなアクティブ派。サウナ通・フットサル通というのは将棋ファンの間でもよく知られているのですが、修行時代はサッカーにハマりすぎて師匠から怒られたという逸話もあるようです。将棋自体は、そこまでバリバリのAI将棋という感じではなく、例えば、「ひねり飛車」という昭和時代に猛威を振るった戦法を愛用していたり、今どきの若い兄ちゃんって風貌ながらも、将棋は個性派って感じはします。
珍しい顔合わせの挑決になったので、やはり二局見たいです。というわけで、本局は「斎藤推し」で行かせてもらいましょう。両者の対戦成績は「1勝1敗」の五分!皆さまも、お時間があれば、ABEMAの方をチェックしていただければと思います。
では、また明日!
Jun