

ABEMA将棋チャンネルでの放送は「こちら」。囲碁将棋TV – 朝日新聞社-(YouTube)の放送は「こちら」から。対局開始は「朝9時」と早いのでご注意ください。
今年もこの季節がやってきました。4月から開幕する名人戦七番勝負の挑戦者を決める「A級順位戦最終局一斉対局」が、毎年恒例の静岡市の「浮月桜」で行われます。
名人挑戦の可能性を残しているのは、佐藤天彦九段(6勝2敗)、永瀬拓矢九段(5勝3敗)、増田康宏八段(5勝3敗)の三名。名人挑戦の条件としては、以下の通りです。
・佐藤九段→勝てば、名人挑戦決定。負ければ、永瀬・増田戦の勝者とプレーオフ
・永瀬九段→増田戦を勝って、佐藤九段が負ければ、佐藤九段とのプレーオフ。
・増田八段→永瀬戦を勝って、佐藤九段が負ければ、佐藤九段とのプレーオフ。
佐藤九段の対戦相手は佐々木勇気八段で、これに勝てば自力で挑戦決定となります。佐藤・佐々木戦は、ABEMAでも解説・聞き手付きで放送があります。永瀬九段と増田八段はこの最終局で直接当たるので、勝った方がプレーオフ進出の可能性があるという、分かりやすい図式になっています。ちなみに、プレーオフは後日行われます。
個人的には天彦先生の名人挑戦が見たいです。まぁ、永瀬さんも増田さんもいま藤井聡太さんとタイトル戦を戦っているので、違う挑戦者で名人戦を見たいというのが理由の一つ。あとは、天彦先生と言えば、2016年に当時の羽生善治名人に挑戦して、4勝1敗で名人位を奪取。その後、2度の防衛に成功して、名人位に通算3期在位しました。
居飛車党のトップ棋士として活躍していた天彦先生が、近年のいわゆるAIの膨大な手順を記憶して臨むような研究方法から距離を置き、数年前に振り飛車党に転向。プロ棋界の特にA級順位戦のようなトップオブトップの争いの中で「圧倒的に不利」とされる振り飛車を武器に、名人挑戦まであと一歩という所まで来ていることは、私のようなアマチュア振り飛車党にとっては「胸熱」の展開で、ぜひこの偉業を達成してほしいと願っています。
いま、歴代の名人戦を調べてみたら、純粋振り飛車党が名人戦の挑戦者になったのは、1986年の大山康晴王座・王将(当時)が中原誠名人に挑戦した第44期名人戦(4勝1敗で中原防衛)が最後。名人保持者が振り飛車党だったのは、1972年の大山康晴名人まで遡るわけで、天彦さんが挑戦者になったらたいへんな快挙と言っていいでしょう。挑戦者になれば38年ぶり。名人奪取となれば53年ぶり。気が遠くなりますね。
天彦・勇気戦の対戦成績は、天彦先生から見て「3勝4敗」ですが、前期の順位戦は天彦先生が勝っています。ぜひここで決めてほしいですね!
では、また明日!
Jun
