「選手とファンの関係と『待機選手問題』」中野友加里が考えるフィギュアスケートの価値(6/16)
「『強い』だけじゃ片付けられない」中野友加里が感じるアスリート羽生結弦の凄み(6/17)
とても良い内容のインタでした。記事の中でJoosep Martinsonさんの写真が使われているのも好印象。中野さんのインタについては、これまで二度(web Sportiva・田中大貴アスリートチャンネル)ご紹介していますが、やはり今回も充実しています。
まず、一本目の方は、フィギュアスケートのスポーツとしての特長と、スケーターとファンとの関係について、ご自身の経験も踏まえて、幅広く語ってくださっています。ただ、それぞれを概略的に語るという感じではなく、特に「ファンへの感謝」という部分で、熱量の高いコメントをされています。
「演技後、感動して泣いている方がスクリーンに映った時、すごく嬉しくなったんです。もちろん、ファンの方が涙するシーンは他のスポーツでもありますが、個人競技で自分一人のパフォーマンスに感動して泣いてくれる方がいるということ。普通だったら、両親、家族くらい。そう考えると、本当の血のつながりはないけど、フィギュアスケートの世界で血がつながっている感じ。日本人としてのファンを誇りに思うことがありましたし、私にとってはみんな一緒に戦ってくれている思いが伝わった瞬間でした」
彼女は、現役引退をしてからちょうど10年経っていて、これまで指導者として教え子を育ててきたわけではなく、リンクとはやや距離を置いた場所からスケートを見てきた印象です。でも、未だに、このようにファンへの感謝の気持ちを忘れない人なんだなと、この一節を読んでもよく分かります。そういう彼女だから、羽生さんを高く評価しているのだな、と今回新たに感じました。
ゆづファンの心境を思い返せば、たとえライストで海外の試合を視聴するのであっても「怖くて見られない」という方が大勢いらっしゃる。緊張で具合の悪くなる方さえいらっしゃる。まさに、「家族」「血のつながり」という表現を使わなければ、説明できない。中野さん、よくわかってるなぁ・・・と感心しました。
2本目の方は、「4Aを跳ばなくても敵なし」という内容などは、「田中大貴チャンネル」で語っていた発言と整合します。ただ、田中チャンネルの方では、「北京では4Aを跳ばなくても勝てる。ただし、公式練習で見せ球にするのはアリ」と、より具体的に、踏み込んだ発言をされているので、ぜひチェックしてみてください。
「普通の選手であれば、ファンの方は『あ、ジャンプ跳んだ。スピンやった、ステップやった』と一つ一つの要素が独立し、切り離されたものとして、演技を見てしまうこともあります。しかし、羽生選手の場合は演技が一つのパッケージ、作品としてまとまっているので、どのジャンプもスピンも構成の一部かのようにこなしてしまう。だから、初めて見る方はあっさりと見られる」
「だけど、初めて見た人が『あっさり見られる』は、実は凄いことであり、奥が深いこと。音楽に選手が合わせて踊るけど、彼の場合は羽生選手がいて、音楽が後からついてくる。羽生選手のための音楽として存在している感じ。それこそ一つの作品となり、パッケージ化されたプログラム。そこが素晴らしいと思うし、その視点で見るとよりフィギュアスケートを楽しめると思います」
「羽生選手のために音楽が存在している」というのは、もう、中野さんが「特許」を取ってもいいぐらい、最大級の褒め言葉ですよね。これも田中チャンネルですでに語っていた内容なだけに、私自身驚きは無いのですが、今回の記事はヤフーニュースにも載ったこともあって、衝撃を受けた方もいると思います。
このような忖度なしのコメントは、すべてのメディアでは出せない(出させてくれない)でしょうが、今回のTHE ANSWERは頑張ってくれました。老舗雑誌や地上波番組もウカウカしてられないですよ。
では、また明日!
Jun