ロステレ杯一問一答(報知・高木)と全日本ジュニア直前特集(りをん)

ロステレ杯一問一答(報知・高木)と全日本ジュニア直前特集(りをん)

昨日ご紹介したNumberの松原孝臣さんのレポートは無駄な情報の無い研ぎ澄まされた名文でしたが、他方で、スポーツ報知の高木恵記者の「一問一答」は、一見すると無駄に思える情報まで文字化して、羽生結弦という伝説的スケーターの「歴史の記録」という意味で、とても価値ある仕事に仕上がっています。

今回のロステレ杯「一問一答」は、もはや、羽生君の息づかいまで「文字起こし(?)」するような徹底ぶり。フィンランド大会よりもさらに細部まで「再現」してくれています。市販の紙媒体なら紙幅の都合でカットされるような部分も、ネットニュースだからこそスペース関係なく活字化されています。ありがたいことです。さて、個人的に気になった部分をピックアップしてみます。

まず、SP一問一答の「休憩に力」の部分ですが、このやりとりはまったく知らなかったです。内容としては、フィンランド大会からロステレ杯の間の練習が、「もっとコントロールした練習」で、具体的には「ただ張り切ってダーってやるんじゃなくて、一歩引いて練習したり、しっかり追い込んだり、バランスよく配置して、そこそこうまくやれた」とのこと。それは「練習の密度」であり、「試合が終わると急に調子が落ちるので、そこからどうやって上げていくか、体のコンディションをどうやるかはすごく考えた」ともコメントしていますね。

おそらくこの内容は、別の機会により体系化された表現で羽生君も語ってくれそうですが、これまでの彼が、試合で負けて「メラメラモード」になったら、「怪我するまで猛練習」となっていた所が、色々と考えて練習するようになった、ということなのでしょうね。平昌五輪前のリハビリ時の取り組みが生きていると思われます。

もうひとつは、これも「SP一問一答」ですが、スピンとステップに関する部分です。「ステップシークエンスに関しては今回、まあ無事取れるだろうというような想定はしていたんですけど。あのお、まあじゃっかん心配な所があって、それがフィンランドに出てしまったかな?っていう感じがあったので。それがしっかりこの1週間の間に、体調を整えながら、いろいろ調整出来たかなとは思っています」とあり、ステップに関してもしっかりプロトコルを分析して、準備してきた成果がロステレでは出たということですね。怪我のアクシデントがなければ、フリーのスピン・ステップにも当然「練習の成果」を見ることができたはずで、そこは残念でしたね。

これから正式な診断結果が発表されるとのことですが、昨年のNHK杯ほどの重症ではないという話ですし、さいたまワールドまでじっくり静養して、日本の地でパーフェクトなOtonalとOriginを披露してもらいましょう。ものすごいスコアも期待できるんじゃないでしょうか。

8月のアジアンオープンでの3F-3Loの映像が流れていましたが、今季の住吉さんの活躍といえば、JGPカナダ大会でシェルバコワ、タラカノワについで3位入賞、JGPスロベニア大会でも4位に入り、JGPデビューシーズンとしては見事な成績でした。これも、1年前に悔しい思いをしたことがベースになっていたわけですね。気持ちの強さが、彼女の安定した演技につながっているのだなと痛感しました。全日本ジュニアでは、横井さんや荒木さん、あるいは川畑さんにミスが出るようだと、彼女も十分に優勝を狙えると思います。

さあ、週末は大変です。明日の記事ではフランス杯の女子SPから見ていくことになると思います。楽しみですね!

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    高木さんは、はっきりと山口さんの後継と言っていいかと思います。ネットの記事ならではの取り組みをしてくれていますね。
    今後は、正確なインタビューなら報知待ち というスタンスが羽生ファンに定着していくのではないでしょうか。

    羽生選手は、試合後~次試合の調整でも、進化しているんですね。これほど考えて練習してきたのに、1本のジャンプで あんなことになったと思うと切ないです。が、だからこそロシアで滑り切ることにこだわったのだとも思います。
    ゆっくり時間をかけて治療し、世選に臨んで欲しいです。

    余談ですが、メディアックス、無事出版にこぎ着けたようで、私は明日書店を覗いてみようと思っています。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      高木記者はこれだけ「唯一無二の仕事」をしてくださっているのに、Twitterのフォロワーがあまりに少なくてビックリしました。それだけ本業に全力投球してくださっていると言えますが、みんなもうちょっとフォローしてあげて!と言いたいです。

      今晩、通信のレビューをアップする予定です。今回は購入に関してはまったく問題ないようです。

  2. sennin より:

    高木さんの記事を期待している自分がいます。山口さんは紙媒体で保管することが出来ましたが、高木さんのはWEBなのでじっくり紙の文字として読めるといいなあと思っています。
    私も、試合までの調整の仕方のコメントにはとても興味を注がれました。以前から練習の仕方について発言していましたが、今回ハッキリと聞けたのは良かった。シニア9年目?勝ち続けてきた選手だからその練習方法なんでしょうね。フィンランドではメンタルが難しかった、ロシアではブライアンが10分前ユヅルはに火がついたとか、4Tのトウのつき方を変えている等具体的に聞いてみたい気もします。いずれにしても今後も高木さんの記事を楽しみにします。

    りをんちゃんの記事もありがとうございました。昨年りをんちゃんはどうしたのかなあ?と思っていたところでした。

    フランスSPも全日本Jr.男子もおわりましたね。島田君の高点数プロトコル見てみたい。フランスもいろいろありましたね。試合毎にドラマが…。

    通信出ましたね!

    • Jun より:

      senninさま

      前にも書きましたけど、高木さんは「ゆづ本」を出版すべきですよ。山口さんはマガジン社(というかジャーナリズム)を離れてしまったので彼がその仕事をする可能性は消えました。じゃ、彼女がやらなくて誰がやるの?と、電子書籍でもいいので出してほしいですね。いちいち報知の重いサイトを開くのが面倒なんですよね・・・。

      フランス杯と全日本ジュニアのSPのスコアについては承知していますが、まずは通信の購入報告を前倒しして、その後ゆっくり試合を検証していく予定です。