この動画を見たのはGW中で、なぜYouTubeのおすすめに挙がっていたのか不明ですが、とても面白かったです。
宮城野親方(元横綱白鵬)は、引退後、完全に指導者一本で後進の育成に励んでいます。横綱は、まぁ人気の面ではイマイチな部分もありましたが、実績では相撲界の歴史上でもピカ一ですし、そういう天才的なレジェンドが指導なんてできるの?というのが私の正直な所でした。めちゃくちゃ稼いでるはずですし、家族と過ごしたり、モンゴルに帰ったり、テレビに呼ばれたり、普通の生活をしてもいいと思うです。でも、彼の考え方は違ったようです。
実は白鵬って、現役時代から弟子のスカウトを熱心に行っていて、それは彼が後に親方になるための「準備」だったようですね。
ガガちゃん(元小結臥牙丸)の動画の話になりますが、まず、こんな大横綱が、幕下レベルの力士を直接指導していることにビックリでした。しかも、一人一人に声をかけて、どうすればよかったか詳しく説明をしています。稽古場にカメラとモニターが設置されていて、稽古の様子をすぐに振り返ってチェックできるようになっています。
後半のインタビューも面白くて、横綱はモンゴル時代、最初は「相撲をやりに日本に行こうとは思わなかった」とか。なぜなら、当時のモンゴルではNHK朝ドラの「おしん」が流行っていて、横綱は「(ドラマを)見たくなかった。みんな苦労しているから。絶対に日本になんて行きたくない!」と思ったそうです。そりゃそうです、あんなイビリだらけのドラマ、いまだったら毎日炎上して打ち切りになるかもしれません。
しかし、そこから3~4年後、モンゴルで流行ったのがキムタクと松たか子の「ラブジェネレーション」で、「ぜんぜん違う!ちょっと日本に行ってみたいな!」と考え方が完全に変わったそうです。
このインタビューを聞いていると、大横綱が稽古を見ているのだから「弟子は黙って従うだけ」というわけではなくて、いまの若者の性格に配慮して言葉をかけつつ、でも、「言ってもその通りにできないことはある」という悩みもあるんだとか。そりゃそうなんだけど、それが彼ほどのレジェンドにとってもテーマになっていることは、新鮮な驚きでした。
かつてプロ野球のイチローさんが「僕は天才ではありません。なぜかというと自分が、どうしてヒットを打てるかを説明できるからです」と発言していて、私も個人的に思うのは、スポーツでも勉強でもどんなに素晴らしい実績を出した人でも、「自分がどうやってその結果を出したか、その方法論を説明して、それを他人が実際に真似て(一定のレベルで)再現できるかどうかが、指導者としての適性なのかな」と。
その意味で、将棋界って、自分が日々どういう勉強をしているかほとんど話さないので、一般的な意味での指導者たりうる人は限りなくゼロかなと思います。他方で、フィギュアスケートの指導現場は、ブライアンを除けば、むしろ現役時代に実績の無い人の方がコーチとして結果を出しているので、羽生さんってそういう適正あるんだろうか?と、そこは興味津々です。
横綱は、ご自身が外国出身力士だからこそ「相撲の海外への普及を自分がやらなきゃいけない」という使命感を持っていて、本当に素晴らしい。親方になってからテレビの取材は基本的に受けていないようなので、とても貴重な動画でした。
では、また明日!
Jun