読書雑談(SOLO TIME)

読書雑談(SOLO TIME)

精神科医の名越康文先生の本をもう1冊読了しました。『SOLO TIME(ソロタイム)「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』というタイトルなんですが、べつに「いますぐ独身になれ!」といった本ではありません。「ひとりの時間(ソロタイム)をもつことの効用」がいろいろと書かれています。

我々含めた先進国に生きる人間は、猛獣や飢えによって生存が脅かされることは無くなり、その代わり、さまざまな「集団」の中で「社会的な生活」を強いられるようになってきた。収入に直結するような「社会生活」に限っても、会社員や公務員なら「職場組織内での人間関係」、自営業やフリーランスでも「顧客との人間関係」と、そこに属するさまざまな人たちからの期待に応えないと、稼ぎに影響します。

もちろん人間関係は職場だけじゃなくて、家庭内はもちろん、近所付き合いから、同窓会から、SNSを通じた関係やら、とにかくいまは無数に広がっていて、誰もがいろんな「群れ」を掛け持ちして生きる中、それぞれの群れのルールに従い、空気を読んで、期待に応えないといけない。だから、みんながみんな心や身体を病んで、疲弊してしまう。本書でそれを名越先生は「過剰適応」と言ってますが、そんな自分を守るために「ソロタイム」を作れと言ってるわけですね。一人旅をしたり、特に目的もなく散歩に出かけたり、何かに没頭すべしと。

本書が出版されたのは2017年ですから、普遍的なテーマでありつつも、具体的な対処法としてはちょっと「古さ」も感じます。例えば、いまみんなスマホを持っていて、それこそ「一億総ジャーナリスト時代」ですから、一人旅をするにしても写真を撮ったらそれをSNSにアップしたくなるし、それに対するリアクションが欲しくて、SNSを開きっぱなしで、むしろ通常勤務の日よりもスマホが気になって仕方ない。「群れ」から解放されたくて旅に出ても、「群れ」から逃れられない自分にふと気づくわけです。

自分の場合、ポケモンスリープを2月頃からやるようになって、ブログの更新も朝6時に切り替えたことで、夜10時~朝6時ぐらいまでの約8時間スマホを触らずに生活するのが日常になりました。そうすることで、SNSやメール等のチェックもその前後にチャチャっとまとめて片付けるようになり、その意味ではメリハリがついてきた感があります。これ以外に、物理的にスマホ絶ちできる時間・趣味って何だろう?と考えるようになっていますね。

本書に話を戻すと、かと言って「群れ」と一切関係を断つことは不可能ですから、その中でどう生きるかが課題になってくる。そこで、なるべく疲弊しない方法としては、

私たちは決して「他人を変える」ことはできない。

これを肝に命じること。「群れ」の中で、他人に行動を変えてもらおうと「努力」しようとするから、疲弊する。そうではなく、「自分を変える」ことを通じて対処する方が合理的で疲れないし、結果的に他人の行動が変わるきっかけになるかもしれない。

本書の中で、他に印象的だった部分は「アンガーマネジメント」に関するものです。まー、このテーマについてはすでにいろんな本が出てますが、本書の中では、以下のようなアドバイスがありました。

怒りを無理に抑え込むという発想をやめる。「ボヤ」の段階でサッと払ってしまう。心に怒りがよぎった瞬間に、ゆっくりと三回、「私は怒っています」「私は怒っています」「私は怒っています」と唱える。スリランカ上座部仏教の長老の教えだそうです。

「心の基準点」を上げる。定期的に、明るくさわやかな自分を思い出し、そういう自分を「基準」にしておく。すかっと明るくなった時の自分の身体のリラックスした感覚や視界の広さみたいなものを覚えておく。それを「基準」にしておけば、日常生活の中で怒りがよぎった時に気づきやすくなる。

どっちもまだ試していませんが、1つ目の方はすぐにできそうです。電車やスーパー・コンビニでの突発的なアクシデントが発生した際、私も実践したいと思います。

ただ、電車・スーパー・コンビニでのトラブルは自分が黙って大人しくすれば済むことですが、より重要度の高い対人関係等で問題が発生した場合、2つ目で指摘されるように、「心の基準点」を上げた上で、冷静に対処しなきゃいけない。

自分の場合、「心の基準点が上がる感覚って何だろう?」と考えてみると、「熱い風呂に入って疲れが取れる瞬間。特にジムで走った後の大浴場が最高!」とか、そんな所が頭に浮かびます。でも、大きなトラブルが発生した時に、そんな都合よく「熱い風呂」を思い浮かべられますかね?

と、これらはまだごく一部で、他にもいろいろなアドバイスがてんこもりです。ただ、私自身の好みで言うと、マニュアル的なものはいまあまり求めていないので、やはり最初に読んだ「精神科医N」の味わい深さには及ばないですね。

では、また明日!

Jun


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