藤井棋聖、本日対局!(棋聖戦第一局)

藤井棋聖、本日対局!(棋聖戦第一局)

ABEMA将棋チャンネルでの放送は「こちら」。両者の対戦成績は「1勝1敗」です。

山崎隆之八段の挑戦を受ける棋聖戦五番勝負、いよいよ開幕です。山崎八段の棋風を何と表現すればいいか・・・。常人には理解不能なキュビズム期のピカソのような作風というか、「北斗の拳」で言えば雲のジュウザのような自由奔放な天才型の戦士というか、「誰にも真似できない将棋を指す」という点で言えば、現役棋士ではまず一番手に名前が挙がる異端棋士です。

そして、素晴らしいタイミングで、中村太地八段「山崎将棋の独創性」について解説する動画をアップしてくださいました。中村八段は王座獲得経験もあり、現在順位戦A級に在籍するトップ棋士の一人です。一緒におしゃべりしている男性はアマチュア強豪の鈴木肇さん。奨励会三段リーグを残念ながら年齢制限(26歳)で退会したものの、その後、アマチュアの将棋愛好家の指導現場で尽力されつつ、プレイヤーとしても依然としてアマトップクラスの腕前を維持しておられます。

この動画では、棋聖戦トーナメント準決勝の永瀬拓矢九段戦、決勝の佐藤天彦九段戦の棋譜を解説しながら、山崎将棋の特徴を言語化してくれています。「気持ち悪い将棋」というのは、山崎八段が「将棋のセオリーとしてはありえない手」を序盤から堂々と指していくことを鈴木さんが評した言葉なんですが、私もこれを見ていて、どうして自分からこんなにすぐに負けそうな形にするのか意味が分からない!と呆れるしかなかったですね。私が真似しようものならすぐに負けます。おそらくプロやアマチュア強豪の方でもそう思われるのでしょう。

じゃあ、天才山崎は、この負けそうな手を自分から選んで指していながら、世界でたった一人だけ優勢を意識していたのか?実は、対局後のインタビューで山崎さんは、こう答えています。

ふはははははは!と、お二人も大爆笑してます(19:00辺りです)。私もこれには声上げて笑っちゃいましたよ。山崎さんはやっぱり自分の感覚で指していて、でも「悪い」と思っている。「大失敗している」と自分で言ってしまう自虐キャラこそが、山崎八段が「愛される天才棋士」たるゆえんかもしれません。

将棋には「定跡」というものがあります。「序盤はこの通りに指すと負けにくいからオススメですよ」という手順が将棋の定跡で、これを将棋のルールを覚えた後はみんな暗記する必要があります。お二人の会話の中では、定跡とは「舗装された道」と評されていました。山崎将棋は、舗装された道を選ばずに、いきなり自分から泥沼に入り込んでいくスタイルなんだと。勝てる確証はないが、好きだし面白そうだから泥沼に進んでいく。学校の帰り道に田んぼで泥んこになって遊ぶ子どもかよ!とツッコミが入りそうですが、まさに「子どもの持つ純粋な遊び心」と言えるかもしれません。でも、その泥沼ルートに対戦相手が付き合うと、山崎ワールドの術中にハマるわけですね。

そしてABEMAさん、さすがプロの仕事です。この気合いの入った動画を見たら、山崎八段を応援したくなるのが人情というものです。「将棋が弱い奴は死ねばいいのに」という発言さえあったとされる少年時代。たしかに、当時の写真は眼光鋭くて、他人を寄せつけない雰囲気があります。でも、師匠の森信雄七段は「将棋が強い・弱い以前に、人としてダメな奴は破門にする」というお考えの先生でした。それを、森先生も山崎八段ご本人も、「プロ棋士として勝ちつづけるという面でどうだったか?」と自戒されていますが、いやいや、将棋が強い棋士ほど様々な場面で挨拶する場面は増えますし、将棋ファンやタイトル戦開催地の地元の方との交流も求められるわけで、そのお手本が羽生善治九段でしたし、その重責を藤井八冠も21歳の若さで自覚して活動しています。いまの日本では、ただ将棋が強いだけで行動も言動も無茶苦茶だったら、マスコミからSNSから全方位から叩かれまくって、将棋どころじゃなくなりますよ。

話を将棋に戻すと、将棋の戦型的な面は、まったく予想できません。山崎さん次第なんです。AIを使った事前予習も無意味でしょうから、おそらく藤井棋聖も「その場で考える展開」を覚悟していることでしょう。山崎ワールドという「未知の将棋」に藤井棋聖が悶絶しながら大長考して持ち時間を削られることになると、山崎さんにもチャンスはあると思います。これまでとはまったく異色のタイトル戦、楽しみたいと思います!

では、また明日!

Jun


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