準決勝は10:15、決勝は14:15から対局開始です。主催の朝日新聞の「YouTubeチャンネル」は放送の枠がアップされていますが、ABEMAの方もまもなく上がることでしょう。
先に、王将戦七番勝負に触れておきます。なぜパイナップルかというと、日本将棋連盟が東京将棋会館を建て替えるために「クラウドファンディング」を行ってきました。その返礼品の一環として、藤井八冠が鉛筆でイラストを描いたのが「パイナップル星人」で、それをプロの画家の方が手を加えて、パーカーにもなりました。詳しい経緯は、「こちらの記事」をお読みください。
さて、藤井王将の「4-0」のストレート防衛となりましたが、スコアよりも、内容が4局すべて圧勝だったんですよね。プロ野球の日本シリーズなら、4試合すべて「5-0」以上の勝ちという感じです。
ただ、1日目から大差になったのは第二局のみで、それ以外の3局は、1日目を終わった段階でほぼ互角~藤井王将やや有利という感じだったので、2日目から差がついてしまっていたんですよね。ここでも野球で言うなら、5回裏を終わった段階で1-0か0-0ぐらいで折り返しているんですけど、6回以降にリードされてそのまま負けるという展開です。作戦選択というより、単純に中盤の読みの精度ではっきり差があるようでした。
読みの正確さと深さにおいて、他の棋士の追随を許さない「天賦の才」を持った藤井八冠にどう対抗するかというと、やはり「考える時間を与えない」こと。もっと正確に言うと、「どんなに時間をかけて考えても有力な結論が出にくいような将棋に誘導して、持ち時間を削りに削って焦らせる」しかないでしょうね。そんな作戦をストックしてぶつけるのみでしょう。
しかし、朝日杯のような「持ち時間40分」「秒読み1分」のような早指し棋戦であれば話は別で、いくら藤井八冠と言えども、持ち時間を湯水のように使うわけには行かず、時間に追われることになります。事実、ベスト8の増田康宏七段戦は、増田さんの大優勢で最終盤となったものの、藤井八冠がギリギリの所で逆転した将棋となりました。
準決勝で対局する糸谷哲郎八段とはJT杯の決勝で当たって、熱戦となりました。そして、決勝に永瀬拓矢九段が勝ち上がってくるとしたら、作戦家の永瀬さんのことだから秘策を準備しているはずで、少なくとも王将戦よりは競った将棋になることでしょう。
とはいえ、藤井さんは強すぎます。早指し棋戦ならいざ知らず、現状、保持している8つのタイトルのうち1つでも失冠するということは、ちょっと考えられません。藤井さんを脅かす有望な若手もいないですし、もはや、藤井さん自身のモチベーションの維持だけが懸案事項で、彼だけが歩める道をひたすら進んでいる状況です。羽生結弦さんがワンマンショーを開催して全公演完売になるのと同じで、こんなことをできる後輩は、少なくとも私の生きているうちは現れないでしょうね。
では、また明日!
Jun