味の素さんと言えば、羽生さんを「勝ち飯」を通じて全面サポートしてくれる存在として、我々の中でもよく知られています。今回、同社の「アミノバイタル」の企画インタが、羽生さんの誕生日に合わせた形で公開されました。
以下、インタの中で印象的だった部分をピックアップします。
「会見後に『ファンからの決意表明』みたいなハッシュタグができたんです。通例だったら『引退会見』とかですけど、そうではなくて、自分が『決意表明』という言葉にした意味を皆さんが汲み取ってくださった。現役引退ではなく、アマチュアからプロに転向するだけだと強く打ち出していたので、ファンの方々も現役選手を応援する形ではなく、“現役のプロをこれからも応援します”と言ってくださったのが、すごく嬉しかったですね」
「引退」という言葉を使いたがった勢力も一部見られましたが、我々ファンの間で、7月19日のあの会見を「悲しい会見」ととらえた人は、ほぼ皆無ではないでしょうか。私自身、現行のISUの試合で羽生さんを見られなくなることに、まったく何の後悔も悲しい気持ちも起きなかったですね。そして皆さんも、羽生さんがすべてコントロールできる「Continues 2」的なアイスショーを何年も待っていたでしょうし、私もその一人だったんですが、まさか「スケーターは羽生結弦のみ」というショーになるとは、当時誰も予想していなかったと思います。
『プロローグ』が無事に成功し、実はその前から動き出していたという「GIFT」が待っています。心がひりつくような思いをせず、ただひたすらに羽生さんのスケートだけを楽しみ、応援できるいまこの時を本当に幸せに思います。羽生さん、決意してくれてありがとうございました。
「哲学というか、こだわりですが、『音との協調性』はすごく大切にしていました。フィギュアスケートって技に集中すると、どうしても音がBGMになっていく。僕はそれがすごく嫌で。昔のフィギュアスケートのルールでは、曲はボーカルなしというルールがありましたが、クラシックやミュージカルの音楽に対して、僕たちの演技は、ある意味『ボーカル』だと思うんです。そのボーカルが曲に対して、完全に外れた適当なものだったら、気持ち悪いじゃないですか。そういう風には絶対なりたくないというのが、自分の演技のいちばん真ん中にあるものだと思います」
そもそも、なぜボーカル曲が禁止されていたかというと「歌詞の内容を理解できるジャッジと、そうでないジャッジとの間で、プログラムの理解に差が出てしまう」ということだったはずです。あとは、ボーカル曲解禁によって、採用曲の幅を広げる意味もあったかと思います。
で、結果的にどうなったかと言うと、歌詞があろうが無かろうが、曲と同調していようがいまいが、「高難度ジャンプを組み込めば、高得点を出す」というのが現在のトレンドとなり、PCSから「曲の解釈」という項目が無くなりました。まったくもって嘆かわしい限りですが、これも羽生さんがプロスケーターとしての道を歩むことを決断した大きな理由のように思えます。
『プロローグ』では、音との協調性だけでなく、プロジェクション・マッピングとも呼応して、「映像・視覚効果との同調」ということにもチャレンジしていました。おそらくその大がかりな仕掛けは「GIFT」でも見られるのでしょう。『プロローグ』で見られなかったものとして、例えば、「プロジェクションマッピング&生演奏」だったり、あるいはボーカリスト・コーラス部隊、ダンサーまで従えたものだってあるかもしれません。グラウンド全てに氷を張るわけにはいかないので、氷上と客席との間のスペースをどのように使うのか、そこはすでに今から気になっています。
ほかにもしっかりとした質疑応答がなされていて、かなり硬派なインタに仕上がっていますので、ぜひご一読ください。後編では、羽生さんがどんな話題について語ってくれるのか、いまから楽しみです。
メタルジョギング・チャレンジは106日目。AC/DCの『Back In Black』(1980年7月)です。これまでAC/DCの作品は、「61日目」「70日目」「100日目」と、すでに3枚もご紹介してきましたが、実は本作の発表前、ボン・スコット(Vo)が急死し、バンドは解散も考えていました。しかし、後任にブライアン・ジョンソンを迎えての新ラインナップでリリースされた本作は見事な出来で、バンドの最高傑作として認知されています。全世界で5,000万枚以上を売り上げて、いま聴いてみても、間違いなく「ハードロックの教科書」と言っていい作品ですね。
アルバムのタイトルトラックで本作6曲目の「Back in Black」は、「この曲に何も感じる所がなければ、あなたにはハードロックは向いてないかも」と言いたくなるほど、あらゆるカッコよさが詰まっています。新ヴォーカルのブライアンの金切りヤスリ声もバンドの音楽性とまったく違和感がなく、「よくぞ見つけてきたもんだな!」と感心しますね。
他にも名曲がズラリと並んでいて、全10曲・42分をあっという間に駆け抜けていきます。個人的に「これは!」と思ったのは、9曲目の「Shake a Leg」ですね。AEROSMITHのような軽快な曲調に、キャッチ―なコーラスが印象的で、彼らにしてはかなりポップな仕上がりの一曲。とは言え、中盤以降のアンガス・ヤング(Gt)のギターソロは強烈で、3:44によくこれだけ詰め込んだものだ・・・と隠れた名曲かなと思います。
では、また明日!
Jun