対談の第6回は「こちら」。ここまでの5回分の感想はこちらで<第1回><第2回><第3回><第4回><第5回>。
だから、最近思ってることのひとつが、フィギュアスケートってすごく難しいっていうことで。単純に、やらなきゃいけないことがあまりにも多すぎるんですよね。
・・・たとえばフィギュアスケートの演技をヒップホップとかのストリートダンスとか、ジャズダンスとしてとらえたら、気になる部分がたくさんあると思います。フィギュアスケートだから許されてるんだな、っていう面は、多々あると思います。
・・・でも、競技時代だったら、そういうことは点数としては出ないんだけど、プロになって、その演技自体を見られる、お客さんに見てもらう、ってなったとき、そこに求められる質感は、正直、圧倒的に違うと思うので。
現行の採点ルールではPCSの項目が3つに減らされたことからも明らかなように、羽生さんが語っている「競技時代」よりもさらに、「音楽に合わせることは点にならない」という傾向は強まっているでしょうね。たしかに所作の美しい選手はいて、私が注目している上薗恋奈選手はロシア的な柔らかな身のこなしを見せてくれますが、じゃあ、曲との一体感ってどうだったっけ?・・・となってしまうことは否定できません。
もちろん、それが悪いとかレベルが低いということではなくて、現行のルールで勝つための努力をするのはアスリートとしては当然の話です。選手の個性を生かすも殺すもルール次第の面はあって、だから本来ルール作りは慎重であるべきだったんです。そういえば、技術と表現で種目を分けるって話はどうなるんでしょうね?そもそも、これだけ客離れが激しいと、五輪種目として生き残れるかという話になってますが。
羽生さんのプロ転向後の活動も2シーズン目を終わろうとしていて、あくまでも私自身の現時点での評価ですけど、「Ice Storyなら現地で毎年観たいな!」となるんですが、「ノッテとFaOIは(コラボ相手次第では)映画館で妥協するかも?」という所に落ち着きつつあります。今回の対談で話されているような、スケートと音楽との親和性はもちろん、ショーのコンセプトの中でのプログラムの意味、会場内の演出等々、Ice Storyのクオリティがはっきり高いのでね。
糸井「じゃあ競技じゃない道に移った選手の方がおもしろいかもしれないですね」
羽生「というよりも、そこまで目指すというのが、競技のフィギュアスケート界にないんですよ」
現状では、日本人でプロ転向後に個人でアイスショーに出演できるのは、ワールド・五輪で代表歴があるレベル以上に限られています。となると、競技時代に「勝てるスケート」を習得しつつ、結果を出さないといけない。正直、点にならない部分に練習時間のリソースを割くのは難しいはずです。てか、プロ転向後のことなんて考える余裕もないでしょう。
そう考えると、羽生さんがスケートをやめた後はどうなっちゃうの?ってなるんですが、彼のことなんで、何かしら考えてはいるのでしょうが・・・。
では、また明日!
Jun